dalichoko

ウェンズデー シーズン1のdalichokoのレビュー・感想・評価

ウェンズデー シーズン1(2022年製作のドラマ)
-
なかなか見応えのあるドラマだった。

ひとつは原作者チャールズ・アダムスが描き始めた世界観。1937年という年は、世界に独裁者を歓迎する空気の時代で、そんな中でアダムスはこの家族、これらのキャラクターをひとりひとり漫画の世界で表現してゆく。彼が最初に勤めた仕事は、死体写真の割付だったらしく、そのことが後のおぞましいキャラクター作りに影響しているようだ。

そしてティム・バートン。彼はもともとディズニーに雇われるが、仕事仲間からはつまはじきされる奇人だったらしい。その後の数々の作品からも、彼の”孤独”が映画に反映され、アダムスファミリーからウェンズデーというキャラクターに自分を重ねたようだ。

このふたつの時代と人物を重ねると、このドラマが作られた理由がほのかに見えてくる。ウェンズデーは自分の先祖が追い立てられて殺された歴史を幻視するが、当時この街を支配した独裁者に対する抵抗がドラマの根底にある。そしてつまはじき者として転校を繰り返すウェンズデーが、同じ境遇の仲間たちに支えられて、次々におこる事件の謎を解くという展開も、この時代(現代)に存在する独裁者、あるいは独裁者を支持する者たちへ問いかけるものなのではないかと思う。
dalichoko

dalichoko