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踊り場にてのmanamiのレビュー・感想・評価

踊り場にて(2021年製作のドラマ)
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第33回フジテレビヤングシナリオ大賞受賞作であり、生方美久氏のデビュー作でもある単発ドラマ。主演は瀧本美織。
バレエの夢を諦めて帰国した美園舞子が、再就職先の高校で出会う生徒達との関わりを通して、自身にも向きあうこととなる。
「僕がギター背負ってるから軽音楽部だと思ったんですか、それなら藤井聡太は将棋部だと思いますか」っていきなり突っかかってくる正宗とのくだりから、もう既に生方イズムが感じられる。
学校または実家のリビングでの場面がほとんどで、「諦める」がキーワード。夢を諦める前と後、どっちの方が辛いかと問われて、夢を諦めるかどうか迷ってるときだと答える。趣味とはどういうものか、それは仕事にすることができなかった何かだ。子どもの頃になりたかったものになれる人は2割。などなど、夢を追うこと、諦めることにまつわる会話がひたすら繰り広げられる。
舞子の母が語るーー想いが実った好きな人の、そばにいる時の姿は消しゴム。現実でのダラダラした生活態度などが、ときめきを消してしまう。でも消しゴムだから大丈夫、消しカスが出るし、筆圧が強ければ跡が残る。「見えづらくなるだけ」ーーこれが、後半に繋がるようになってるのも流石だな。
話の展開としてはシンプルだけど、中田青渚、青木柚、富田望生という生徒役3人の等身大な好演と、この時から確立されている生方美久らしい会話劇が、最後まで目を離させない。
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