takanoひねもすのたり

エルピス—希望、あるいは災い—のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

3.8
ドラマ『エルピス』完走。

冤罪事件はB面で本来は報道する側の人間ドラマがA面だろうか。
民法の暗部と視聴率主義、そしてマスコミ批判。
描きにくい内部事情を扱ったという点は評価。

そもマスコミへの不信や信頼度が限りなく低い私にとっては"そんなもんだろ"感が(十把一絡げにしないw)

実際、最後に恵那(長澤まさみ)が斎藤(鈴木亮平)と対峙するところ、格上の相手対し交換条件と取引を持ちかける点(報道の有り方)報道に携わる人間としての矜持と忖度せねばならない国家権力の面子……ではなく(代理させてはいる)それの時に発揮できる"賢さ""処世術"の強化に見えたとでも。

報道で事件の真犯人と冤罪を暴くため奔走する岸本と恵那の辿り着く先の違い。

制作と女子アナの立場の差をドラマに仮託し激烈に成長する様を描いた部分は成功していると思う

冤罪事件や連続少女誘拐殺人事件について何をモデルにしたのかは一目瞭然なのだが、ミステリーはB面。

主軸のように展開するが、比重はそう高くない。最初から冤罪であることを知る女性の登場があるため、こちら側には冤罪を払う行動を起こす恵那と岸本の活躍に注視することになるが、逮捕理由を崩す証言が取れるとマスコミ上層部or外から圧力がありスクープが潰される事態が数度繰り返される。

徹底的にぶちのめされて人間的に一皮むけたのが岸本で、言葉遊びのようだが"女子アナ"ではなく"看板ニュースアンカー"に強化したのが恵那。

冤罪事件軸は、断続的な情報をつなぎ合わせて進行させているため、実際のところ"政治家の不祥事""警察・検察の誤認逮捕"の点のみ強調されたところは仕方ないのか。

最初のDNA鑑定の部分が弁護側不一致、検察側検出されなかった、であっさり終わるのはw
また自殺者と自殺を偽装した他殺事件が踏み台になったところはかなりもにゃる(検視官が無能なの?)

"そっちはあきらめるが、ではこっちを公表させろ"
という取引を成立させる部分にマスコミの闇を見ちゃうが、寧ろ。

秀逸だなと思ったのはEDの映像、一切れ欠けたホールケーキのアップ、恵那の〇〇クッキング的な映像の調理している様子を映したあと、カメラが引いて暗闇の中、テレビに映るその番組をじっと見ている女の子、手にはケーキが一切れ。
これは、おっと思った。