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エルピス—希望、あるいは災い—のmskのレビュー・感想・評価

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善悪だけで語ることのできない現実は確実にこの世に存在していて、それを正面から描ききった作品だった。見ながら、森友学園問題、増税、インボイス制度、五輪招致の賄賂疑惑、原発、ジェンダー差別、弱者が虐げられている日本の社会についてずっと考えていた。10話の斎藤のセリフは本当にクソでしたね。最近の岸田首相の「同性婚を認めれば社会が変わってしまう」という発言を思い出したりして、そんな間違った社会は変えちまえ、てか社会は常に移り変わってゆくものなんだよ〜と中指立てました。変わってしまって損をするのは誰なのか?お前たちです。斎藤という人間から語られる増税とか絶対にまともな使い方をされなさそうで本当に嫌だった。

眞栄田郷敦の演技を初めてちゃんとみたんだけどすごかった。主人公2人の心理のうつりかわりがとても丁寧にひろわれている。正しいことをしたと実感を得たときに食事が美味しそうになるのもよかったなぁ。食べることは生きることで、2人にとっては真実を追い求めることも生きることなのよね。

安倍晋三や菅が実名で出てきたり、福島原発の「アンダーコントロール」発言や森加計問題を、明確に/批判的に取り上げていたり、麻生太郎がモデルっぽい副首相が出てきたり、近年日本の地上波ドラマではみることのできなかった誠実さで見ていてとても安心した。
とはいえ、こんなことを褒めなければいけない社会はやばいので、もっともっとお願いします。
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