お腹すいた

両刃の斧のお腹すいたのレビュー・感想・評価

両刃の斧(2022年製作のドラマ)
5.0
これまで見たWOWOWのドラマで一番、自分の中に印象が深い。
タイトルの由来は作中、中盤でサラッと触れられる。

インタビューで井浦新さんの柴田恭兵さんへの元々の好意を知り、それがうまくドラマに本当に反映されてて、だから見てる方もドラマに没入して視聴する事ができた。

全ての発端は間違いなく森下というクズ、もっと残酷なしにかたして欲しかった。
森下が柴崎家も、山田くんもルー大柴も全てを狂わせた否ルー大柴の元警視正は本人が元から不正をやってたのでまぁ自業自得か。にしても、不正が横行してる警察というと、ドラマでよく神奈川県警が出てきてこのドラマでも当たり前のように出るけどなんかあるんですか!?

という長い前置きは置いといて、本当に良いドラマだった。見終えてから、柴崎の気持ちが痛いほどにわかってとても苦しく気が重くなった。
たびたびここへのレビューで書いて申し訳ないんですけど自分もほんの一年と少し前に家族を二人も立て続けに亡くしてるので、まさに作中の柴崎に自分が重なって、面白いドラマだけど見てるストレスもとても大きかった、けどそれを乗り越えても本当に素晴らしいドラマで…なんとか見ました。

見終えてから気になるのは、あの後、柴崎はどうやって生きていくのかって事。自分も未だに、どうやって生きていくのか、未だ片付けも完全に終わってなくて(遠い地で突然自死したので、いろいろ大変なんです、借金だけなかったのはマシ)、毎日毎日寝ても覚めてもため息つきそうになる。ため息ばかりだとそれはそれで気が滅入るので実際にはつかないけど。自分もでも、柴崎のように兄弟を追い込んだやつら全員、◯すって意識に一時期取り憑かれてました。自分で、どうしてこんな事になったのか調べるうちに本当にひどくて、まぁ言うと兄弟が自死したのは田舎の風習と地雷女に取り憑かれおかしくなったからなんだけど、田舎の人って東京の人を下に見てバカにしてるところがあって、でもなんとか地元に溶け込もうとして寝る間も惜しんで兄弟は頑張り続けちゃって、それで追い込まれてって感じなので明確には誰が悪いとかはないけど、それでもやっぱり殺意がなくても、殺人だと思うのです、人を死に追いやるなんて。どれだけ兄弟がそうやって騙されて追い詰められ苦しめられていたかを具体的に列挙するとキリがないけど、とにかくそんな風に客観的な事実がわかるうちに自分もあの集落一帯に爆弾を落としてやるとかすごく不穏な考えをずっと持ってました。それが突然手放さねばならない日があって。とまた長々と書いてごめんなさいなんだけど、そんな思いを、このドラマを見てまた思い出しました、でも自分も最後は復讐心は捨てて、山田くんみたいに、前を向いて生きて行こう、と決めたんだけど…さて、これからどうやって過ごしていくのか、暮らしていけばいいのか、悩みながら、ドラマでも柴崎は、結婚式で少し吹っ切れたような顔をしていたけど、誰もいない家に帰ってから、どうするんだろう? 昼間はご近所の家の畑を手伝って、まろの散歩も行って、そうやって過ごすのかな。
ちなみに私の妄想では、警察を辞めた梶野と、大切な人を失くした同士で故人を偲んでお酒を飲むこともあるだろうし、そこから、警察やめたって話が出て、じゃあ今どうしてる?って、もしかしたら義理の父子になったかもな関係だし、って一緒にご飯するようになったり旅行したりとか、そんな日々もあるんじゃないかなと考えてみた。

まだ私自身には15年の月日は流れていないけど、それくらい経てばもう少し気持ちも変化したりするのかな、このドラマの原作も読んでみようと思います。