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モダンラブ・東京のharutaのネタバレレビュー・内容・結末

モダンラブ・東京(2022年製作のドラマ)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

3と5は最高。7は普通。6は苦手。1.2.4は嫌い。

1話
・前田敦子がつまらなそうに演じていたのがいちばん印象に残っている。水川の偏執的な授乳をそんなこだわらなくていいんじゃないかなーというポジション以外与えられておらず、演じがいがないと思う。Tシャツもあざといし。
・発音がネイティブじゃないと英語話せないだろとは思わない。が、簡単な英語の発話だけを見せるプレゼンシーンの胡散臭さはなんだろう。これを外国人キャストの前で撮ってたと思うと気恥ずかしくなってしまう自分も嫌だが。
・水川の授乳へのこだわりは自身に起きたアレルギーゆえと説明されてたと思う。それ自体は納得するし、授乳にこだわる母親が多いのも想像できる。でも現在進行系でアレルギーなどの問題が身体に現れているわけではないから、視聴者との葛藤の距離が遠い。遠い目でやってるね〜と見てしまう。それこそ子育てに無理解な男のように。で、大方そこまで授乳にこだわらなくていいという着地になるんだろうなと視聴者は先んじて見ることになる。
当事者にとっては切実だろうから描き方が難しいとは思う。ただこのドラマの主軸たる葛藤が面白くないのはつらい。
・友だちや飛行機の隣の客との会話が嘘くさい。出会うなり主題に即した話や作者が伝えたい代弁をしてくれて、ああ日本のドラマ観ているなあと自虐的な気持ちになる。
・同性カップルを当たり前の存在として描くのは素晴らしいと思うけど、「わかってないママ友」をまるで遅れた人類みたいに描くのは鼻につく。本筋と関係ないからなくていいし。こういうのがあると、逆にわたしたちわかってますよ!心得ておりますよ!というアピールのために同性カップルにしたのでは?と思えてくる。多分そうだし。アベマじゃないんだからさ。
・同性カップルというリベラル性(シンガポールに出張に行くバリキャリもある)と授乳にこだわるという保守性のちぐはぐはもっと面白くなるはず。水川の中では矛盾はないが、他人から見ると滑稽にも映り、水川の愛らしさも増すはず。が、脚本にも演出にもそういう意図は感じなかった。
・総じてものすごくつまらなかった。

2話
・インスタグラマーが撮った東京みたいだ!
・榮倉奈々が生物学の教授である意味がいまひとつない。不倫者巡りする際、科学者なりの仮説をもって聞いてまわり、その仮説に固辞したり修整したりすると、キャラクターの魅力が出たと思った。コメディ寄りにふる案だけど。セックス前でも後でも何で不倫するんですかと聞いて回る人間は辛いし、無茶苦茶うざいし、本当に聞きたいのはそんなことじゃないはず。不倫する男なんかに共感したくないのに男に同情してしまった。
・あんなでかいイエス・ノー枕をどうやって持ってきたのだろうと思ったが、車で来たのだろうという脳内補正をした。それよりイエス・ノー枕って古いよ。高良健吾の顔はいつ何時でも好き。
・セックスできなくてもオッケーな夫婦という結論は美しい。けど、愛してる人とこそセックスしたかったんじゃなかったのかという疑問は残る。そこはできないけど私たちはそれでいいという切なさはクライマックスに感じなかった。おし、セフレつくるぞ!ということなのだろうか。なんにせよ、すぐ倦怠期はまたやってきそう。
・総じてストレスが溜まった。

3話
すごく良い!冒頭の大学での義理チョコをせびる男子学生だけ古臭く感じたものの、そのほかは何の引っかかりもなく楽しめた。
・会話が丁寧に撮られている。プロットのために性急に進まず、キャラクターの魅力を伝えるために個々の場面がつくられていて引き込まれる。中高年がマッチングアプリを使って出会うときの戸惑いや緊張が伝わって面白い。
その中でビール、伊藤蘭が意固地、別居期間などの伏線が巧みに張られていく。
・隣りのカップルを設定しているのが巧み。主人公カップルとは逆に序盤だけ良い感じで、あとは急降下していく対称性。俺的とか実験とかの言葉遣いが絶妙に今のウザい男の感じを捉えてる。
・カフェを出てから段々とお互いの思い出の地や石橋凌が着々と加算していくイケオジぶりを見るのだが、ちゃんとサプライズが用意してある。映画の話をカフェでしていたのもリアリティを増している。
・ひとりスパイスカレーを食べる藤原季節を横目に見つつ、伊藤蘭は今の言葉で「マウントしてくる男」と過去を評してしまうが、実は必死で知識を固めていたのではと話を動かしていく。そのともすると反動的に見える人物を説得力をもって描く手腕に唸る。
・ちゃんと大人の歳月を生きた人たちの話に見えてよかった。街の変化を肯定的に捉えていたが、街よりも人の魅力にあふれていた。
・チケットのお返しをするという洒脱さ
・総じて最高。

4話
3話の素晴らしさを忘れさせ怒りを催すほどつまらなかった。監督が嫌いだから、どうせ良いとは思えないとは想定していたもののここまでとは。
・阿佐ヶ谷姉妹のお姉さんが飛び道具的に出てくる時点で嫌な気がする。演者として上手いのに妹もいることが示唆され、阿佐ヶ谷姉妹として存在させてしまっている。そして成田との会話のカメラ位置が定まらず、コロコロ変わる。3話なら会話だけで主人公のキャラクターを伝えられていたのに、お姉さんがダラダラ話すだけで時間が鬱積していく。
そして、成田が「あのとき…」といって回想が始まるという今年作られた回想シーンでいちばんダサい回想が導入される。なお、登場人物たちの会話でダサいという言葉が頻出するが、演出こそダサいからダサい人がダサい人にダサいと言っている救いがたい状態になっている(監督嫌いすぎるな)。
・うつ病なのか適応障害なのかわからないし、症状に対する反応は人それぞれだから確定的なことは言えないが、にしても夏帆喋りすぎでしょ。どうしたってうつの人はあんなに喋れないのでは?と思ってしまう。ちなみに自分は過去適応障害で離職した経験がある。うつというか陰キャの人が落ち込んでるだけに見える。で、ちょっと調べたであろう症状の感覚をセリフにしてるだけ。
最後妻に色が戻ってきた!的なダサいセリフ言うけど、うつのときも派手な格好してたよ。
・10年前ならまだしも、うつで休む人に直接圧をかけるキャラクターを置かないでほしい。リアリティないし、そういう悪役を出さないと作劇できない古臭さはなんとかならないのだろうか。本当に性格悪い人はこういうときは大人しくするだろうし。こういうつまらない役を演じる役者が不憫になる。
・荻上ユーモアがことごとく寒い。好みもあるだろうけど。フリがないことが多いし、あってもオチの落差や意外性がない。力士の安直さとかガムとか、現場はつまらないシーンを撮るパワハラ受けたなと思った。スタッフがうつ病に罹患してないことを祈る(監督呪いすぎかも)。
・これは好みだけど、パワハラ上司に何も言えなかった成田はクレーマーの客がきたときに部下を守るように成長してないとドラマとして変化がなさすぎでは?成田が不器用でも防波堤になるように成長することこそ感動を生むのでは?ガムなんてなくていいシーンだし。
・ビールあんなすぐ冷えないだろ。ぬるいなあと言ってくれたらむしろ感動したよ。
小さな幸せ=縁側で七輪をやりたいんだろうけど。荻上のいつものごはんシーンでまとめましょという作家性なのか投げやりなのか知らんけど、安直が過ぎる。全然旨そうにも見えなかったなあ。
・うつというのが最後の小さな幸せ(ごはん)のために持ってこられたモチーフに見えて居心地が悪い。精神病のなかでもっとも自殺率高いのがうつ病。シリアスに描かなきゃいけないなんて思わないけど、入門書読んだくらいの知識で患者を荻上ワールドの住人にされると著しくリアリティに欠ける。
・総じて怒りが湧いた。

書く気力が尽きた。
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