ほしいままに繁栄を謳歌する人間の文明に放たれた無数の球体。
それらは“命令”として、とある生存本能を有していた……
日本の伝説的漫画を原作とするNetflixオリジナル・韓国版。
原作の主題と質感をなぞりつつ、通常個体とは異なる変異寄生の主人公(とパラサイト)・部隊・警察・組織化パラサイトが序盤から並行し動き出す構造が見事。
『新・感染』や『謗法』『呪呪呪』等人間ドラマ×社会×ホラーの名作を手掛けるヨン・サンホ監督らしい多面的な群像劇が、原作漫画後半のテイストを監督らしく脚色していて、簡潔にまとまった6話のボリューム以上の観応えがある。
寄生生物と寄生生物、人と人、そして寄生生物と人。
不完全だからこそそれぞれが選びとる「生存」の為の「共生」。
原作のあざやかさである「寄生変形のバリエーション」が少なく、「共闘」よりも「共生」を主軸に据えた落ち着き(によるパラサイトと主人公の意志疎通の奇妙な熱さやコミカルさの少なさ)、最重要項目である“寄生獣”というコトバの意味には切り込まない等の差はあるものの、VFSの美しさ、キャラクターの個性、失速の無い面白さ、原作への目配せもあって◎。
ネトフリは相変わらず字幕が下手すぎるので吹替推奨。
