烏丸メヰ

THE DAYSの烏丸メヰのレビュー・感想・評価

THE DAYS(2023年製作のドラマ)
4.8
東日本大震災、地震と津波にさらされた極限状態の原子力発電所。
当事者の手記や取材を元に構築された作品。

当時私は東京にいたが
「これがニュースで流れたとき私はこうしてたな」
「私がこのニュースをテレビで観た時には、現地ではこんな……」
等、あの時を生きていたあの時の記憶との地続きな感覚を禁じ得ない。
そして、全ての判断と全ての行動に心を尽くした人がいた事、原子力の恐ろしさを決して忘れてはならないと感じた。


ドラマから滲み出る救いのない緊迫感、状況の分からない中で迫り来る最悪の予測に苛まれる閉塞感。
所々で恐怖感を表すときのホラー映画的手法(原子力をホラー化しているわけではなく、映像効果の意味)は好き嫌いが分かれそうではあるが、変にセリフめいたセリフや感傷的描写でドラマチックに飾らないといった質感には一貫したドキュメンタリー色がある。
そういった点において、セリフめいたセリフや感傷的描写を多用しドラマチックに仕上げた『Fukushima50』の方が映画的でありプロパガンダ色が強く、私は『THE DAYS』の方が好きだった。
(泣ける映画~みたいなカタルシスの装飾が心に響く人や、特定の思想・意見的な立ち位置ありき視点のある人は『Fukushima50』の方が入ってきやすいだろうし、映画よりノンフィクション的なものが好きとか、フラットに考えたい人は『THE DAYS』の方が観やすい感じがある。これは完全に好みとスタンスで分かれそう)


特に、当時ニュースでも報じられていたヘリコプターによる上空からの放水と、現地の桜並木に関しては『Fukushima50』での描き方に嫌悪を感じるくらいこちらの方が好き。
烏丸メヰ

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