世界一同情されるシリアルキラーことジェフリー・ダーマーの史実ドラマ。
ジェフの人生が幼少期から牢獄で撲殺されるまでを本人や親、隣人や被害者/その家族のストーリーと合わせてじっくりと描いている。
最低最悪の事件であることは言うまでもなく、実際に被害者のいる話だから手放しに擁護はできないものの、彼の幼少期や人生の経験から見るに愛着障害や認知の歪み、人格形成に影響を及ぼしたであろうエピソードの数々は聞くに堪えない辛いものだった。
しかし、単に同情を買うために作られたものではないことは本人以外の関係者や被害者遺族の涙や訴えによってハッキリ分かる。何の悪も持たないのに無残に殺されて実験動物や食肉家畜のように扱われた事は、どんな言い訳でも通用しないのがリアルだ。
実際の史実でもそうだが、最終的に自らも酷い死を遂げたのは、リアルであり、この一人の主人公を追ったドラマとしてもあまりに呆気ないものだった。
ドキュメンタリーとはまた違う緊張感と気味の悪さはドラマとしての成功の形だった。映像や細かな演出、俳優陣も素晴らしかった。