原作が中国人作家だから、どうしても中国人中心に物事が動くのがやはり不自然に感じてしまう。ましてや人類の存続を掛けた話となるとなおさら。舞台はイギリスではあるが、人類を救う計画を立てるのがイギリスと言うのもこれまた不自然。国連は登場するが、常任理事国であるアメリカ、フランス、ロシアはほぼ無視。中国、ロシア、アメリカの軋轢も完全に無視。それらを盛り込まず、人類存続を掛けた地球規模のプロジェクトを語る時点でリアリティが無い。
所々「なんで？」という部分もあり、特にハードディスクを手に入れるためだけに、ナノファイバーで1000人のカルトを惨殺する部分とか、それを使うための無理やり感が半端ない。生命体に向けて人間を送るやり方も、今の人類のどこにそんな技術があるの？という感じだし・・・
ただ、話の大筋は面白い。カールセーガン博士原作の「コンタクト」をほうふつとさせる部分もあり、敵対、友好の違いはあるが、宇宙物理と哲学を織り交ぜながら未知の生命体に挑むさまは一見の価値はある。
