マレーボネ

仮面ライダーBLACK SUNのマレーボネのネタバレレビュー・内容・結末

仮面ライダーBLACK SUN(2022年製作のドラマ)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

つまんなかった。

いわゆる『大人向け作品』のイヤなところが出まくってて、好き勝手言いまくってるくせして設定の甘さは子ども向けフォーマットのせいにしてる辺り卑怯ささえ感じる。

デモがどうとか学生運動がどうとか戦争法案がどうとか、設定も歴史背景も何もかも違うのに市井のリアクションだけは現実で見かける風景にガッチリ結びつくように描いてるから、物語として非常につまらない。

たとえば差別の描写がもろにアパルトヘイトなのに、市井のリアクションが近年見るような分断されたイデオロギーの対立風景なのでチグハグな印象を受ける。これで社会派気取りは無理があるよ……。

そもそも差別を扱う作品として、差別というものをきちんと分析できていない。

変な言い方だけど、怪人への差別がゆるいんだよね。
身体的な差異で徹底的に差別されてるとも言い難いのに、部分的に「くさい」「バスに乗るな」「私には夢がある」みたいな現実、しかもだいぶ過去の人種差別のエピソードを引用してくるので、どんな感じで50年共存してきたことにしてるんだろうと疑問。

ガチで差別されてるなら差別側も被差別側もデモすら起こさないのでは、という。そこまででないのならもうちょい成熟した社会情勢(水面下で人種問題が顕在化してるとか)が見えてもいいのでは、という。

そのよく分からない社会で、差別側も被差別側もあからさまに暴力的だから、まじで中学生が考えた世界かよ……ってなる。
子どもに大人がガチで嫌がらせしたりするのが当たり前みたいだし、怪人側も「いや、そんなに沸点低くて圧倒的な膂力を振りかざすなら差別されても仕方なくね」とも思う。

こんな感じでテーマの掘り下げが致命的になされていないのに、そこに加わる過剰なグロ。「お前もお前も皮一枚剥いだらベチョベチョグチョグチョが詰まってるぜ〜〜キャッキャ」みたいな?

なんか社会とか人間の営みみたいなのを全く信用してない人が作ったんだろうな、という印象。

別に政治批判・社会風刺が悪いとは思わないけどさ、やるんなら設定詰めてその上で身につまされるように真面目にやれよと思った。


個人的に今年はエグゼイドにハマり、W、風都探偵、000、ギーツと立て続けにハマり続けた仮面ライダーイヤーだった。

自分がここまで仮面ライダーにハマったのは、子ども向け番組っていう制約の中でいかに人間性を扱うか、っていうことに特化しているからだと思う。

単純な勧善懲悪を超えて、人の欲望の二面性や利他性の矛盾、その上でどう振る舞うか、みたいな難しいテーマを子どもでも楽しめる形で表現してるすばらしいシリーズだと断言できる。

そんなシリーズにニチャッた大人が幼稚なイデオロギー丸出しで乗り込んでいったイメージがどうしても拭えないんだよね。

本当にガッカリした。
マレーボネ

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