ブギの女王こと笠置シヅ子をモデルに、戦後の日本を歌で元気付ける福来スズ子の賑やかな半生を描く物語。
さほど沢山朝ドラを観ているわけではないが、こうも毎日の放送を楽しみにしている自分がいたのは意外だった。
もう一話目から大阪のドラマらしいテンポの良さに引き込まれ、夢中になった。物語的に停滞する期間がなかったわけではないが、全体に溢れるカラッとした明るさが大きな魅力で、毎日観るドラマとしては大変良かったと思う。特に前半は非常に面白かった。
スズ子を演じた趣里は邦画での活躍をみてきた女優だが、彼女の気持ちのこもった芝居が多くの人の目に触れたのは関係者でもなんでもないけど嬉しい限り。
また作品柄、歌やダンスが非常に多かったが、芝居と同時にそれらに挑み一定のクオリティのものを作り上げた趣里はじめ出演者たちは素晴らしかった。
本作の特に好きなポイントは登場人物たちがみな生き生きしていたことだ。最終回のコンサートシーンに集まった人たちの顔を観ただけで、印象的なシーンのいくつもを思い出せた。朝ドラのキャラクターは優しいいい人ばかりになりがちだが、本作に出てくるのは欠けたところもあるけれど憎めないという等身大の人間ばかりで、とても親近感がわいた。
特定の人だけ挙げるのが難しいが、最愛の人・愛助や茨田りつ子、羽鳥善一との交流がやはり印象としては大きいだろうか。あ、でも梅丸時代の仲間たちやスズ子の家族、マネージャーの山下さんも良かった。書き出すと止まらない。
あとは子供時代のスズ子のへこたれないたくましい様子も素晴らしかったことに触れておきたい。趣里も楽しみにしていたが、序盤はまだ大人にならないで!と思ったくらい。
ラストシーンもとても好き。スズ子は娘の愛子以外の家族とは縁が薄いのだけど、歌を通して多くの人と心を通わせていった。血の繋がりはなくとも義理と人情で繋がった人たちと囲む食卓のシーンは、1話が近所の人たちに愛された賑やかなはな湯から始まったことにダブる。
朝ドラは家族の絆が強く描かれがちな印象があるが、本作のように血を超えた多様な繋がりの姿が多くなっていって欲しいなと個人的には思う。
楽しい時間を有難う!