女は生まれ持った容姿によって違うレールの上を走ることになる。今も昔もそれは変わらない。だがレールはその後幾つにも枝分かれしていき、それぞれの辿り着く先が幸福か不幸かはわからない。必ずしも美女が幸せになり、ブスが不幸になるとは限らないことは歴史が明確に証明している。
なお、さまざまな理由により美女からブス、ブスから美女のレールへの乗り換えも可能になった。違う人生への列車に乗り換えることになるのだが、それぞれの行き着く先がどうなるかはわからない。
結論として毎回主人公が入れ替わるこのドラマは面白かった。特に初代マスクガール、キム・モミ役の女優のこれ以上ないという絶妙なハマり具合で一気に物語に惹きつけられた。だが一方で第一話と第二話が抜群に面白かったのに比べ、後半はやや失速した感が否めない。
ルッキズムを皮肉ったブラックコメディーからクライムサスペンスへと進んだ物語は、親子3代を巻き込んだ壮絶な復讐劇へと変わっていく。
醜い容姿を揶揄され虐げられてきた女が整形などで美しく変身して、自分を下に見ていた男女に復讐していくという話は昔からたくさんの映画やドラマで描かれてきた。だが、配信時代を反映した上手い設定は、古いテーマなのに新しさを感じさせた😊
前半の2話は、脇役も含めて登場する人物がいかにもな感じでルッキズム(外見至上主義)をあからさまに皮肉る描写はコミカルですらある。そんな中主人公のマスクガールの生い立ちから築き上げられた人物像に惹きつけられた。
人は異性に対して完璧を求めない。一つか二つコンプレックスがあった方が、親しみを抱き、相手に劣等感を持たずにいられるからだ。完璧なスタイルでセクシーに踊るモミは、自らのコンプレックスをマスクで覆い隠し、夜の動画配信の世界でたちまち人気者になる。
このキム・モミとその娘を 愛する息子をマスクガールに殺されて〝復讐の鬼と化した1人の母親〟が執念の追跡をする。後半は韓国ドラマ特有のダークでドロドロとした展開になり、最初の予想とかなり違うところに連れて行かれた😅
単なるルッキズム批判や復讐劇にとどまらない現代韓国が抱える様々な闇を浮き彫りにする中身の濃いドラマであった。