このレビューはネタバレを含みます
好きなドラマランキングTOP5には入るな確実に。めちゃめちゃ好きなドラマだった。
架空OL日記もそうだけど、バカリズムの脚本は本当にリアルな女の会話を掴むのがうますぎる。話の流れが2点3点しすぎて「そういえば、なんの話してたっけ」って感じとか、「そういえば、前にもこんなことあったよね」って過去の思い出を振り返りがちなところとか、ほんと、ほんと「そういえばさー」ってなりがちなのよ女の会話って。バカリズムっつーのはほんと、女の生態を熟知しすぎてんだ…絶対脳内に女もう1人飼ってるってバカリズム…。あーちんたちと私の世代は同じってわけじゃないのに、シール交換のくだりとかドラマ倶楽部の話とか非常に共感できた。特に思春期ならではの何とも言えない父親への嫌悪感。わかりすぎて爆笑した。いやーー、ほんと日常生活の中での絶妙な空気感だったり共感できる心情を突いてくるのうまいんだよな〜。
あーちんが人生をやり直すたびに、色々な職業に就いていくのも面白かったし、特にテレビのプロデューサーとして働いてたときは自分の将来が少し楽しみになったりもした。
あと何と言っても安藤サクラの表現力。人生1週目のあーちんは、どこにでもいる平凡な地元で働く市役所職員だったわけだけど、2週目あーちんも、3週目もあーちんも、人生を何週も重ねていくごとに関わってきた人間との微妙な違いだったり習慣の違いだったり、過ごしてきた時間の長さだったりが、ちゃんとそれぞれの人生のあーちんの人間性や仕草や喋り方にうまい具合に反映されていたのがすごかった。どのあーちんも、あーちんであることには変わりないんだけど、絶妙にそれぞれ違うあーちんが安藤サクラの芝居によって、ちゃんと表現されていたからこそ、見てる方も、混乱せずスッと設定が入ってきてたんだと思う。ほんと、絶妙なのよ、それがさ。
あと、人生4周目で親友3人も亡くしてしまった葬式の帰りに、いつも通っていた馴染みのトンネルを眺めながら涙を流すあーちんの表情も本当に素晴らしかった。ドラマの傾向的に、あーちんのモノローグが非常に多いんだけど、親友を亡くすシーンは、あーちんのモノローグは一切なくて、その涙を流すシーンで、親友を失った悲壮感が伝わるという演出が良かった。4周目を終えて、人生を繰り返してきた理由だった"来世で人間に生まれ変わる"という目標を達成できたのに、親友を死なせないために、今世を良くするために、5周目の人生を覚悟するシーンの表情もよかった。あと、5周目の飛行機事故を阻止して落ちていく隕石を見つめるあーちんの表情も、なっちとみーぽんに「あーちん！」って呼ばれたときの表情も本当に秀逸…すごい俳優だよ安藤サクラっつーのは。
あとあと、松坂桃李だったり、浅野忠敬だったり、黒木華だったり、チョイ役の役者が豪華すぎて「コイツのちに何か重大な存在になるのでは…？」と思わせておいて、マジで単純にそれだけのための役だったのズッコケすぎておもろい。特に浅野忠敬な。予告でめちゃくちゃ不穏な雰囲気出しておきながら「タイムリーパー」言いたいだけオジサンだったのほんと最高。2周目のくせして離婚は阻止できなかったのじわるわ〜。
あと不倫と浮気に対して地獄へ堕ちろ精神を一貫してるところも最高。黒木華と水川あさみのブチギレ回は本当に何度も見た。おもれえ。私もブチギレて友達に「おちついてーーー！」って取り押さえられたい。あと不倫阻止したくらいで180人の命と親友の命が救われた流れも面白い。まじで河口さんナイス案件すぎた。
最終回もすごくよかったな。変に引っ張ったり、匂わせることなく、綺麗なハッピーエンドで終わったのがよかった。何度も人生をやり直してたあーちんやまりりんが、地元に帰って1周目の人生と同じ職業に転職するところとか、結婚とか女性に対する偏見とかがなく、本当にフラットに1人のあーちんという人間の人生が描かれていたのが、すごく見ていて心地よかった。もしかしたらなっちやみーぽんは結婚していたのかもしれないけど、そういうの関係なく、4人の関係性が変わらないところとか、憧れすぎて胸が苦しかった。いくつになっても変わらずにいられる関係性って本当に尊い。そういう関係性の友人がいるって、人生においてとっても価値があると思う。そう示してくれた終わり方なのもよかった。
私は特にドラマはリアルタイムで観ることに意味を持ってて、リアルタイムで観るからこそ、一週間の日常の中で、来週の続きを見るために、また明日から頑張ろうってそう思えるんだよね。今このタイミングで、ブラッシュアップライフをリアルタイムで見れて本当によかった。どんなにオンデマンドや配信サービスが充実したとしても、毎週リアルタイムでドラマを観ることの良さを忘れさせないでくれるドラマって本当に貴重で素晴らしい。こういう作品に出会うたびにどうしたって私はこういう世界に憧れてしまうんだよな〜。一週間に一度誰かの楽しみになれるようなそんなドラマの制作に携われるっていいな〜ってなっちゃう。あとねーーー、細かい設定までちゃんとこだわられた演出のドラマって天才なのよ。登場人物の感情や習慣をちゃんと理解して表現してるの。それこそ、細かな癖だったり喋り方だったり、洋服の傾向だったりさ。いいなーー、いいよなーー、ほんといいのよ。あと細かいところにちゃんと伏線が貼られてる感じ。しかも壮大な伏線じゃないのがとても良い。たとえば、機長の中村さんとあーちんが同郷という設定が、後輩河口さんが市役所で機長の中村さんの不倫に気づく設定に繋がるわけだし。なっちとみーぽんが何気なくご飯食べてる時に「海外行きたくね！？」って話していたから２人で海外旅行に行く流れに繋がってたり、そういう細かな設定。
好きなシーンは語ればたくさんあるんだけど、何よりも一貫して友情を描いてて、誰の生き方も否定しないところが本当に良かった。あとコミカルな部分とリアルな部分のバランスも非常に良い。めんどくさい妬みや嫉妬もないのも、何もモヤッとするところがなくて、シンプルな感情だけを与えてくれるドラマだった。今過ごしている日常の愛おしさを改めて気づかせてくれたドラマでした。
