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波よ聞いてくれのmaoのレビュー・感想・評価

波よ聞いてくれ(2023年製作のドラマ)
4.0
鼓田ミナレ、フリーター。付き合っていた男に振られお金まで騙し取られた愚痴を、バーで隣り合った男にぶちまけたのが全ての始まり。ディレクターである男に素質を見出されたミナレは、深夜ラジオ「波よ聞いてくれ」のパーソナリティーに抜擢され、才能を遺憾無く発揮していく。


原作既読、アニメ未視聴。

小芝風花が金髪にした姿を最初に見たときは、ああ可愛いな、くらいだったのが、ドラマを観てみるとあまりにも「鼓田ミナレ」だった。

ハイテンション、早口で捲し立てるマシンガントーク。役作りも台詞を覚えるのも大変だったと思うけれど、小芝風花、ほんとうによく頑張った。彼女の代表作になるのでは。

「ラジオをテレビで魅せる」性質上、特にミナレが長尺で喋るシーンは単調にならないよう、撮り方にかなりこだわったらしい。好きな漫画の実写化はこれくらい気合いが入っていないと納得できないよな。わたしが納得するしないは関係ないのだけれど。

ミナレが働くスープカレー店「ボイジャー」の店長役がバイきんぐ西村だったのは最高だ。やっぱり良いコント師は良い演技するよね。

脇を固める北村一輝も原菜乃華も小市慢太郎もみんな良かった。特に久連木さんの再現度が半端じゃない。


最終話は最終話らしい展開を持ってきていてとても良かった。

数年前、地元が台風で被災したとき、地元から少し離れたわたしの居住地までも数日間停電していたのだけど、もう解散してしまったあるバンドのボーカルが、曲を作ってそっとSNSに投稿してくれたのを思い出した。

そのバンドも、わたしの居住地のすぐそばで活動していた人たちで、きっと彼のお家も停電していただろうに、彼は暗闇の中、ギターを弾いて歌ってくれたのだ。同じように不安な時間を過ごす誰かのために。まるで最終話の、あの勇ましかったミナレのように。



ドラマもとても良かったけど、原作の漫画はミナレがふとした瞬間に発する言葉がやけに心に残ったりする。漫画の方が、変に温度を乗せすぎずにそれを味わえるので、機会があったらぜひどうぞ。
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