Jiyong

私小説 -発達障がいのボクが純愛小説家になれた理由-のJiyongのレビュー・感想・評価

4.0
わかる〜!あるあるだよね〜!の行動の数々に共感しながら見ていたけど、ひとつ疑問なのは触角過敏や人の悪意に過敏なことへの対処はできているのに聴覚過敏だけ対処せずにパニックになるところ。聴覚過敏のある発達障害の人はヘッドフォンをつけることが多いよ。最近のはノイズキャンセリングがあって便利だよ。と思った。
母性という言葉で美化されそうなところを上野樹里の演技力や絶妙な言葉選びのバランスで上手くかわしていたように感じる。
全体的に素敵な物語で素敵な2人なのだが、性愛の拒否(ベッドが別々だったり着替えを見ないなど)は発達障害や知的障害の人が性欲を持たない風に描かれてきた今までの表現の踏襲にしかならず、ステレオタイプの流布を助長させているだけなのではないかと思った。
そりゃ、アセクシャル的な恋愛を描く作品はどんどん増えていって欲しいと思うけど、それを発達障害がメインになる作品で(現段階では)あまりやるべきでは無いというのが個人的な意見だ。
その特徴が故に可愛いなどと子供扱いされることの多い発達障害を持つ人々が、1人の人間なのだということを表現するにはやはり性欲を描かないわけにはいかない、と(現段階では)思うのだ。
性愛のない恋愛が純愛なのだと言われているような気がして、少し悲しかった。アセクシャル的な恋愛も性愛もどちらも純愛だよ。

でもとても素敵な作品だった。改めて自分の恋人に深く感謝したくなった。
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