Uえい

心霊グラインドハウス ~ねむりめ~のUえいのレビュー・感想・評価

4.0
最高。これを見ないで心霊ドキュメンタリーは語れない。歴史的傑作。

以下各話の感想。
1
某アニメの様な疾走感のある入りで、がっつりフィクション感のある設定の違和感を軽減させ、一気に引き込まれた。浮遊霊をテイムする展開は新しい。また、ビデオ通話しながらの心霊スポット突撃は『search/サーチ』の様で少し新鮮味があった。

2
眠眼が例に取り憑いて記憶を逆行していくシーンは圧巻。ギャスパーノエ監督の『エンター・ザ・ボイド』を、モキュメンタリーに近い形で成立させたのは凄い。

3
心霊現象が起きる一軒家に心霊系Youtuberや、実在の松原タニシさんが集まり、別々のカメラから同じ現象を捉えて、さらに別々の映像が映るのも新しい。そして、クローズドサークルの心霊サスペンスの側面も生まれ、ワクワクが止まらない。探偵事務所の設定が活きてくる!

4
アリバイとなる映像のトリックを暴くのは、心霊を扱う本作自身のフィクション度を高めることに繋がってしまうため禁じ手のはずだが、それをも乗り越えてしまおうという気概が感じられて良かった。異世界の描写も雑な感じが白石晃士監督から続く系譜を感じる。
また、今までの話が眠眼による後田の記憶の遡行だという展開は、まさに心霊叙述トリックで新しい語り口だというのと同時に、その後の映像の視点が誰なのか信じられなくなり、恐怖を増長させる。しかも、映像トリックの指摘という禁じ手も解決してしまっている。見事!

5
眠眼の存在によってTPS視点の映像にも臨場感があるのは発明だ。
TV 放送が明らかになり、一気に心霊ドキュメンタリー本来の雰囲気が出てきた。

6
これはリアルタイムで見たかった。タイトル回収から、ミステリーの手法をとったことなど、細かな箇所までメタ的に説明があり、細やかな気遣いに感動。心霊ドキュメンタリーの新しい展開を見れた。エンタメ〜テレの作品は毎回前作を超えてきて凄すぎ。
岩澤監督自ら解体されてしまうのも、自虐的なのか、数々手掛けてきたホラー作品の脱構築を試みたというメッセージなのか、感動的だった。
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