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OZU ~小津安二郎が描いた物語~のナツミオのレビュー・感想・評価

3.7
WOWOW on demand鑑賞

世界に誇る小津監督の初期サイレント映画6作をリメイクしたオムニバスドラマ。

全6話で多彩なOZUの世界に迫る。
決して色あせることがない普遍性を持ち合わせた小津作品。豪華キャストによる新たな視点で描く名作の数々。

小津監督初期のサイレント作品の名作たちと、彼にオマージュを捧げる現代の監督たちによるドラマ版リメイク。

オリジナル版の6作品を鑑賞後、ドラマ版を観た。
ドラマ版は現代にアレンジされており違いを比べてみるのも良し。
監督、キャストの違うそれぞれのドラマを楽しめた。
スコアは全6作品の平均。

(番組情報)
映画監督・小津安二郎の生誕120年を記念し、初期サイレント映画をドラマリメイク!全6作品を気鋭の映画監督6人が現代設定に置き換え、オムニバスドラマ形式でお送りする。
“小津調”と称される独特かつ唯一無二の映像世界で、没後60年となる今もなお国内外で高い評価を受け続ける“世界のOZU”。『東京物語』『晩春』など後期の代表作が注目されることが多いが、本作では初期の作品に焦点を当てる。

第1話に取り上げるのは、下町の人情を描いた1933年公開の『出来ごころ』。
主演は田中圭。
ドラマ版スコア  3.8
オリジナルスコア 4.2

第2話は1932年公開の傑作『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』
主演は柄本佑。
ドラマ版スコア  4.0
オリジナルスコア 4.2

第3話は1933年のギャング映画『非常線の女』主演は前田敦子。
ドラマ版スコア  3.5
オリジナルスコア 4.4

第4話は1931年のコメディ映画『淑女と髯』
主演は成田凌。
ドラマ版スコア  3.7
オリジナルスコア 3.8

第5話は1933年のシリアスな映画『東京の女』主演は石橋静河。
ドラマ版スコア  3.5
オリジナルスコア 3.7

第6話(最終話)の青春映画『青春の夢いまいづこ』(1932)主演は中川大志。
ドラマ版スコア  3.7
オリジナルスコア 3.9


第1話「出来ごころ」
鑑賞日 2024/1/20
スコア3.8

東京の下町の人々が織り成す人情劇を小津安二郎監督が情緒豊かに綴った無声映画をドラマ版としてリメイク。

原作:
『出来ごころ』(原作:ジェームス・槇、脚色:池田忠雄、監督:小津安二郎)
脚本・監督 城定秀夫
出演 田中圭 渡邊圭祐 白石聖 森優理斗 渡辺真起子 長田成哉 行平あい佳 駒木根隆介 北村優衣 笠兼三 カトウシンスケ 小野了

<ストーリー>
工場に勤務する喜八(田中圭)は、相棒の次郎(渡邊圭祐)の助けを借りながら息子の富夫(森優理斗)と2人で暮らしていたが、ある日、偶然出会った女性・春江(白石聖)に熱を上げて恋仲になろうと奮闘する。一方、春江は次郎に想いを寄せていて……。

お父ちゃんへ
最愛の息子への大事な話は弟任せにせず自分から伝えないと‼️

小物の使い方が上手い
次郎と春江の関係
・ジャングルジムでのキャラメルの思い出

・やっぱりこれは外せない名セリフ

 ”ねぇ父ちゃん!
  海の水はなんで
塩っぱいか知ってる?“

 “シャケがいるから塩っぱいんだよ‼️”

 ”よく出来てやがらぁ“

(キャスト)
・喜八
田中圭
妻と別れ息子の富夫と二人で暮らしながらも、酒や博打に夢中になってしまうダメ親父。

・次郎
渡邊圭祐
工員で喜八の同僚。富夫の面倒をみる優しさをもっているが、女性が大の苦手。

・春江
白石聖
町に流れてきた女性。喜八の通う食堂で働き、次郎に想いを寄せている。

・富夫
森優理斗
喜八の息子。自由奔放な父親とは対照的に学校の成績も良く利口な小学生。

・おとめ
渡辺真起子
喜八たち工員が通う食堂の店主。職を探していた春江を雇うなど気立てがいい。


第2話「生れてはみたけれど」
鑑賞日 2024/1/19
スコア4.0

子どもたちの目を通して序列社会を描いた、小津安二郎監督初期の傑作無声喜劇をドラマ版としてリメイク。

原作:
『大人の見る繪本 生れてはみたけれど』(原案:ゼェームス槙、脚色:伏見晁、監督:小津安二郎)
脚本・監督 吉田康弘
出演 柄本佑 国仲涼子 染谷将太 /
小山蒼海 白鳥廉 土村芳 渋川清彦

現代でも十分通用する子供目線での格差社会の風刺‼️
オリジナルに比べて郊外の田舎っぽい風景は希薄。

(キャスト)
・吉井健介
柄本佑
会社員。
息子たちの前では威厳のある父親だが、出世のため専務の岩崎に取り入ろうとヘコヘコする。

・吉井英子
国仲涼子
健介の妻。
健介の良き理解者であり、子供たちに優しい母。

・岩崎壮平
染谷将太
健介の上司で専務。
父親が経営する会社の役員に就き、豪華な家屋で気ままに暮らすお金持ち。


第3話「非常線の女」
鑑賞日 2024/1/7
スコア3.5

小津安二郎監督が放った、まるでアメリカ映画のような傑作無声和製ギャング映画をドラマ版としてリメイク。

原作:
『非常線の女』(原作:ゼームス槇、脚色:池田忠雄、監督:小津安二郎)
脚本 高田亮
監督 松本優作
出演 前田敦子 高良健吾 片山友希 前田旺志郎 渡辺いっけい 田中俊介 中井友望 白鳥晴都 二ノ宮隆太郎 山本一賢 近藤芳正 吹越満

オリジナル版はメチャ良かったが、ドラマ版は全くの別物でクライム・サスペンス感薄い。
前田敦子、高良健吾の演技は特筆物!
特にラブシーンは頑張っている。

時子と彩のキャラが入れ替わっている。

彩が重要な役かと思ったが違った違和感。
美人局に本物のヤ◯ザ介入。
渡辺いっけいの逆襲。

オリジナル版の凄さを再認識。

(キャスト)
・坂井時子
前田敦子
昼は歯科助手の仕事をする一方で、夜は恋人の拓実らと美人局など悪事を働く謎めいた女性。

・長谷川拓実
高良健吾
時子の恋人で不良グループのリーダー。荒々しさと繊細さを合わせ持つ挫折した元ボクサー。

・永島 彩
片山友希
ホステス。
時子のグループから弟を抜けさせようと拓実に近づく。

・吉井海斗
前田旺志郎
不良グループのメンバー。
拓実と行動をともにする。

・岡崎 実
渡辺いっけい
介護施設の経営者。
時子が働く歯医者の患者でお金の力を使い、嫌がる時子にしつこく言い寄る。


第4話「淑女と髯」
鑑賞日 2023/12/31
スコア3.7
ひげ面の蛮カラ学生がモテ男に変身。小津安二郎監督の初期無声喜劇をドラマ版としてリメイク。

原作:
『淑女と髯』(原作・脚色:北村小松、監督:小津安二郎)
脚本 高田亮
監督 前田弘二
出演 成田凌 堀田真由 須賀健太 森田想 吉田羊 花瀬琴音 増田朋弥 山崎竜太郎 吉岡睦雄 宇野祥平

 “心の髭”

前半、岡島の演技がオーバーアクション⁈
就職してから、普通の人になってしまったが、最後の怒涛の展開に笑ってほっこり。

(キャスト)
・岡嶋喜一
成田凌
我が道をゆく大学生で、長くて立派な髭がトレードマーク。広子に惹かれていく。

・大平広子
堀田真由
ちょっと変わった大学生。
道端で偶然出会った岡嶋の髭をほめる。

・行本輝雄
須賀健太
岡嶋の数少ない友人であり、良き理解者。

・行本幾子
森田想
行本の妹。
髭面の岡嶋に遠慮なくものを言う。

・大平奈美江
吉田羊
広子の母。
岡嶋と広子の二人の関係を見守る。

  
第5話「東京の女」
鑑賞日 2024/1/20
スコア3.5

弟と2人で暮らす訳ありの姉を岡田嘉子が熱演した小津監督の初期無声映画をドラマ版としてリメイク。

原作:
『東京の女』(原作:エルンスト・シュワルツ、脚色:野田高梧、池田忠雄、監督:小津安二郎)
脚本 狗飼恭子
監督 工藤梨穂
出演 石橋静河 南沙良 中島歩 金子大地 山本奈衣瑠 片山萌美 金子鈴幸 池田良 嶺豪一 森岡龍 斉藤陽一郎

 ”私が私の体を使って何が悪いの?“

・彼氏の良一の訃報を聞いた彼女の春江。
背景にいっぱいの時計。
振り子が揺れる。
べこの首も揺れる。
工事現場の資材も揺れて倒れる。

オリジナルへのオマージュいっぱい

・ラストの重機が掘る穴
 まるで棺桶のよう

(キャスト)
・島村ちか子
石橋静河
出版社で働く編集者。学費のかかる弟の面倒をみる良き姉でありながら、知られざる一面を持つ。

・木下春江
南沙良
良一の恋人で大学生。良一とちか子の関係に違和感を覚える。

・木下重留
中島歩
出版社に出入りする春江の兄。ちか子を気にしている。

・島村良一
金子大地
ちか子の弟でボランティア活動に励む純粋な大学生。ちか子を慕っている。


「最終話 青春の夢いまいづこ」
鑑賞日 2024/1/20
スコア3.7

かつての学友たちの関係に亀裂が生じて……。小津安二郎監督の初期の無声映画をドラマ版としてリメイク。

原作:
『青春の夢いまいづこ』(原作・脚色:野田高梧、監督:小津安二郎)
脚本・監督 近藤啓介
出演 中川大志 渡辺大知 成海璃子 池内博之 坂ノ上茜 森優作 大朏岳優 芹澤興人 篠原篤

オリジナルと大分違うストーリー

・マドンナの奪い合いは無し

・サッカー

・陸カメの“おしげ”

・殴り合いも無し

(キャスト)
・堀野哲夫
中川大志
文武両道で何でも完璧にこなす大学生。 父親が遺したホテルを継ぎ、社長になる。

・斎木太一郎
渡辺大知
お調子者でどこか憎めない堀野の親友。
社長となった堀野から会社に誘われる。

・立花カナ
成海璃子
堀野と斎木の大学時代の友人。
社会人になって、堀野と再会する。

・松野
池内博之
堀野の部下。
堀野の父親の代からホテル経営を支え、斎木の教育係になる。



キャスト・スタッフ
音楽 遠藤浩二
企画・プロデュース 徳田雄久
プロデューサー 堤口敬太 原克子 勝木孝
製作 WOWOW 松竹
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