すみ

泥濘の食卓のすみのレビュー・感想・評価

泥濘の食卓(2023年製作のドラマ)
3.4
今期のドラマで上位で好きだった。
歪んだ人間関係は見ていてとても興味深い。

深愛の誰かの役に立ちたいという純粋さが那須川家を狂わせていく。
誰かに必要とされたいという自分の欲望が、結果として人を救っている。でも、辛い時に手を差し伸べてくれる人間に頼りすぎると泥濘にはまって身動きが取れなくなってしまう。
深愛が主人公なはずなのに、結局深愛をきっかけに家族が仲直りして、深愛本人が幸せになれないまま物語が終わるのが、深愛の人生を表してるみたいで切なかった。

深愛は求められるから与えたい、必要とされるから応えたい、自分自身の存在価値を相手に委ねてしまっている時点で危うくて脆くて。
那須川のセリフにもあったように、純粋すぎて怖い。素直さや無垢は、ある種の恐怖に繋がってしまう。
だんだん自我が芽生えて自尊心と自立をしていくのが普通だけど、家庭環境的に難しいよなぁ....。

深愛の親はDVと過干渉かつ子供を否定するタイプの親で、ちふゆの親も一見優しそうに見えて品性なく苦労しないで生きてきてて、どっちも結構歪んでる。

深愛は人を故意に傷つけるタイプではない(自分は深く傷つくけど)し、素直だからぱちっとハマる場所(人でも仕事でも)に出会えたらどんどん伸びて、親とも離れたら自尊心も少しずつ回復していきそうだけど、ちふゆはどうしたらいいんだろう。ハルキへの愛が歪みすぎててほんとにモンスターだった。彼女が心から幸せを感じられる日はくるのだろうか。

齊藤京子ちゃんの無垢で幼い感じが深愛にぴったりだったし、原菜乃華ちゃんのちふゆはふりきった演技が素晴らしくて。那須川家もみんな解像度が高くて(特に店長の枯れっぷり)キャスト配置が全員上手いな〜と感じた。
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