このレビューはネタバレを含みます
本当に久しぶりに連ドラを1クール全話鑑賞し終えた。ドラマって楽しいんだね。
純子と渚のパートはいつみても泣いてしまう。自分の親になる前の一他人である親(ややこしいな)との出会いって、実際にはあり得ないけど想いを馳せちゃう。こんな人生を歩んでいた人が私を産み出したんだという究極のルーツと対峙するのって、どんな気持ちになるんだろう。
世界は複雑なパワーバランスの上になりたっている。他人を尊重したいという善意で人に寛容に接すると、それに乗っかって善意の人を押し潰し、のしあがっていく人間も多い。だから、何も考えずに寛容になって自分の感じた不快を我慢するのは危ないと思う。多様な考えの人間がそれぞれ自分のテリトリーを確保した上で戦ったり和解したりのコミュニケーションをとり続け、もがいて行くしかない……と、最近思っているので、最終話の寛容音頭はリズミカルで素敵だけど、そんなアットホームに寛容さを打ち出すのはどうなのかな?と思っちゃった。
これだけ色々長文を書くくらいに時代の抱える課題が描かれていたし、ミュージカルパートも自然で毎話楽しめた。一方でムッときた瞬間もあった(結局いまの世の中が細かすぎるんだよと上から目線に感じる表現がかいまみえたときとか)。このムッと感じたことも、相手の立場に思いを馳せるきっかけになったな。やっぱり上の人からしたら若い人間の主張は疑問なんだな、という感じで。
ラストの2024年当時のというテロップもまた主題の表現に効いていてよかった。30年後にまた改めて観たいドラマだった。