このレビューはネタバレを含みます
真っ当すぎる。同時期の別作品との対比もあって、本当に真っ当すぎて何度も涙が出た。8話で、ゲイであることを家族にカミングアウトできずに苦しむ円先輩に、誠が言う台詞「君は悪くない。親に話せないのは君のせいじゃない。悪いのは、ハードルを上げてる我々だ、社会だ。日本だ。」「本来、そんなハードルは限りなく低くていいはずなんだよ。」
これが、決して、個人的な、或いは当事者である人々の個別の問題ではなく、日本社会の問題であるということを明確に断言している。しかもそうするのがここに来て大地ではなくて、誠であるということが演出上とてもよかった。
1話を観た時は、正直、なぜいつも踏まれる側ばかりが「教育」や「説明」をしなければいけないのか、と辟易としたけれど、最後まで観てこれて本当に良かった。
後半に出てきた、大地のお父さんを、典型的なホモフォビアではなく、ああいう考え方をする人間として描いたのも、新鮮で良かった。同性婚ができない社会で、同性愛者が引き受けねばならないいろんなことを、ある意味とてもわかりやすく述べてくれたので、ちゃんと意義のあるキャラクター構成に思えた。三宅唱がケイコのインタビューで言っていたような「雑な作劇」ではなく、所謂"嫌なこと""それを言うキャラクター"として、ちゃんと意味のある演出だったように感じた。
そしてラスト、お父さんにも認められたかった、と言う大地に、お母さんがかける「わたしはずっと、あなたが選ぶ方にいる。すぐ近くに」という台詞が良すぎた。こんなにあたたかくて心強くて素晴らしい台詞はないよ…。