ふみぃぃeeeee

SHUT UPのふみぃぃeeeeeのレビュー・感想・評価

SHUT UP(2023年製作のドラマ)
5.0

昨日観に行ってきた映画で主演を務めた莉子が出演しているドラマということで自宅に引き篭もって一気見したが、1/29の最終回を残しながらも大傑作になりそうな予感。
男性であることの優位性って確かに存在するし、自分もそれに胡座をかいてきたのだと思い知らされる。
およそ男性として生きていたら気づきようのないことも語られていた。
そして、現代社会の病理がかなり網羅されているということも過言ではなく、詰め込み過ぎっていう不自然さがないバランス感覚に力強さも備えたフェミニズムドラマで驚く。
調べてみたら、このドラマを監督している一人が『猿楽町で会いましょう』の児山隆。
この映画では搾取し合う、消費し合うみたいな関係性の危うさを描いていたし、フェミニズムの視点で観ることもできる良作だったので、このドラマについてもかなり発揮されている印象。
実際に自分の経験で某出来事に対する意見として「ホイホイ飲み会に参加した女も悪いんじゃないか」っていうことであの人を擁護するような発言(しかもそれは女性から発せられた)を聞いたことがあったので、社会に蔓延するミソジニーの根深さを思い知りその時は複雑な気持ちになった。
勇気を出して告発している方達に対して、誹謗中傷が絶え間なく続くことへの疑問は止むことはないし、そのようなことをしている人たちに届くだろうか、届いて欲しいという気持ち。
それに反するように今まで経験してきた自分自身の感情の動きを通しても、やはりこのようなミソジニーやホモソーシャルな社会で育ってきたことを実感することも多々ある。
ホモソーシャルな空間に浸かっている下劣な男性たちが多く出てくるが、近寄りすぎない安全圏な位置で見ているだけの男性の加害性に関しても言及されていて、特に彼に感情移入してしまう。
もう見て見ぬふりはしない、楽な方に逃げないという彼の決意は『ウーマン・トーキング 私たちの選択』の村の少年たちへの教育を一任されたあの青年の事を思い出してしまって涙した。
そして、妙に感動してしまったのは由希と授業が一緒の彼の気遣いというか優しさ。
どのような場面においてでも、同意なく相手の身体に触れることは違うんだろうなと思ったし、自分自身のことを振り返ってみてもしっかりと出来ていなかった部分が確かにあっただろうなと思い知らされた。
自分は日本のドラマで初めて見たが、自助グループで性被害について語り合う女性たちの姿に重苦しい気持ちになったし、そして、グループに初めて参加した恵の戸惑いなんかも分かってしまう。
社会から振り落とされない為にもがむしゃらに生きていくしかなかった女性4人が徐々に自分の身体を大切にしながら生きていくという価値観を獲得する辺りでも泣いてしまった。
これは作風は真逆に近いけど『哀れなるものたち』で語られている自分の身体のコントロールの話として捉えられる。
私たちは飼い犬じゃない、可愛いという言葉慎重に使っていきたい。
物語は彼女たちの最後の"闘い"を残すのみで、この話はどのように閉じていくのか。
『プロミシング・ヤング・ウーマン』みたいになるのかとかも含めて、彼女たちの姿を見届けたいと思った。
ふみぃぃeeeee

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