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愛していると言ってくれのmoonのレビュー・感想・評価

愛していると言ってくれ(2023年製作のドラマ)
4.9
 脚本、「雲が描いた月明かり」のキム・ミンジョン、演出、「その年私たちは」のキム・ユンジン、主演、製作、チョン・ウソン。相手役に「賢医師」のカウル先生、シン・ヒョンビン。韓国は脚本家の層が薄いとか言ってすみませんでした。この脚本、ほぼ完璧です。
 日本の同名ドラマのリメイクというより、日本のドラマにインスパイアされたまったく別の作品。意地悪な義妹も、わがままな実母も、ドラマの中で大きな比重を占めていたファクスもなく、昭和的な激しい演出も、わかりやすい敵もいない。ピカピカのアイドルも感情のゆさぶりも、思いをためてためて吐き出すような強いセリフもない。見る人によっては退屈にしか見えない場面のひとつひとつが、ものすごく丁寧に作られていて、構図の美しさや動きの確かさに毎回息を飲む。
 50歳になったチョン・ウソンの、隠そうともしない老いがまた良い味。13年前に日本版ドラマに惚れこんで版権を買ったものの、諸所の事情で作れず、(例の巻き添え事件が原因だとしたら気の毒過ぎる)登場人物の年齢層が高めになりましたと言っていたけど、37歳のチョン・ウソンが演じていたら、結局のところ、消しゴムの二番煎じでしかなかったと思う。相手役のシン・ヒョンビンさん、地味な魅力がここでは生きた。昔の恋人役のキム・ジヒョンさんが見事すぎて、モウン役に演技対決できそうな派手な役者さん持ってきたら、見ている方は食傷気味になったかも。
 15話までは文句なしの満点。最終話、仕方ないとは思うのだけど、PPLを消化するためか、間延びした回になってしまって、そこだけ残念。
追記
16話ラスト、エピローグの最後の台詞まで絶対見た方がいい。
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