韓国ドラマ記録。

My韓ドラベスト「マイ・ディア・ミスター」を超えたかもしれない。
1話のラストでオ・ジョンセのアップと共に「California Dreamin'」が流れて鳥肌がたってしまった。
あっという間に物語に引き摺り込まれた。

第一印象は、アメリカン・ニューシネマみたい。
そのイメージに「California Dreamin'」とR&B風のアコギサウンドが関与していないとは言い切れないけど、そればかりじゃない。

荒涼とした雰囲気をそこはかとなく漂わせているのに、ポップで弾けたロードムーヴィの「Mr.プランクトン」。
韓ドラとアメリカン・ニューシネマのハイブリッドかな。

めちゃめちゃファンキーなんだ。
ファンキーで優しくて、愛に溢れて可愛らしくて愛おしくて悲しい。
脚本からも映像からも作者のセンスをめちゃくちゃ感じる。有り余る才能が迸ってくるイメージ。

同じ脚本家という「サイコだけど大丈夫」もめちゃめちゃファンキーだったけど、輪をかけてる。

物語の核となるのは、脳に13個の爆弾を抱えた余命3ヶ月の男ヘジョたぶん28歳と28歳で早期閉経してしまった女ジェミと、毒母に押さえつけられた名家の跡取りの40歳代の男オ・フン。

笑いあり涙ありの前半から、後半になると彼らの一挙手一投足が涙を誘って、画面を注視できなくなる。

一人の女を愛する二人の男はやがて認め合う。「兄貴」と呼ぶヘジョ。このシーン良かった。

人と人をつなぐ縁とか情とか血縁の意味とか、疑似家族とか毒親とか自己再生とか生とか死とか愛とか、多くの要素が詰め込まれているのに、どれもが深く、味わい深く仕上げられている。

刺さるセリフが次々出てきて、靴とか冠とか黒いサングラスとかハンカチとか小物の使い方も天才的に上手い。

この作品ほど、韓国語がわかったらもっともっと楽しめただろうと思ったのは初めて。
随所に韓国語のダジャレ？みたいな音が出てくる。「オフン（ガオー）」とか、「イケてる（カリ）、楽しく（ジェミ）て、興（フン）に乗って大成功（ボン）なのに……」とか。

韓ドラでは珍しく音楽がめっちゃ好みだったのも、自分的にはポイントが高い。
ゆったりしたギターストロークの中にを憂い湛えた「Stay(Away)」、メロウなR&Bナンバーの「The Town」、軽快なギターピッキングの「Smile」、疾走感溢れる「Sailor O」。
どれも大好きなサウンド。サブスクで繰り返し聴いている。

このアーチスト、JUNHA PARKとおっしゃる。
アコースティックギターをバックにR&Bっぽいサウンドで、ケリー・ジョーンズを思い出すような、ちょっとだけハスキーな歌声がいい。

最初は、エド・シーランのフォロワーかと思った。
でも、ちょっと違うか。
単体で聴くと完成度はそれほどでもないんだけど、ドラマにはよく合っていた。
「ユミの細胞たち」でも彼の曲が劇伴に使用されてたみたい。

作者のメッセージは痛いほど伝わってきた。
タイトルの意味につながるプランクトンは、食物連鎖の底辺にいる取るに足らない存在だ。魚たちの餌だ。でも、太陽を浴びて光を放つのと同時に酸素も吐き出す。だから地球の生物たちは生きていられる。
取るに足らない自分でも生きる価値があるんだ。

もうひとつ、今を生きるぼくらに作者のメッセージ。ドラマの中でヘジョが何度も言ったセリフ。

「行き先を決めるな。”何かしなくちゃ”とも思うな。本能の赴くままに進め。そうすれば迷わない。未知の世界に飛び出せば、それは迷子じゃなくて放浪の旅になる」

素敵な物語だった。
カデンツァは派手派手で良いのだ。

全10話、１日で一気見。
一晩空けて、ヒッタヒタの余韻に浸かってるところです。

いや〜、一言でいうと、モロ好み！
前半はドタバタしてるんだけど、後半になると雰囲気落ち着いてきます。監督変わったのかなと思うくらい。

主役のウドファンがまずいいし、イユミのケミ感もよく、そこに加えてオジョンセさんとイエルが作品に深みと奥行きを与えてくれてる。
人生のままならなさとか死に向かう退廃感。なのにシニカルになれなくて、どこかイノセントな人々（ヤクザ除く）にグッときました。

そして劇伴がまたいい！
The Mamas & the PapasのCalifornia Dreamin’がここ！ってところで流れるんだけど、めちゃくちゃエモい。
世代なのか、琴線に触れちゃう。
ウォンカーウァイの『恋する惑星』でも使われてたから、なんか私の「あの頃」とか思い出して、流れるたびいいシーンなのもあって目頭が熱くなった。いや泣いてた。

✅ラブコメとジャンル分けされてるけど、このラブは「ラブ＝恋、恋愛」じゃなくて「ラブ＝愛」だね。

✅ウドファンの切ない表情がたまらん。あとちょいちょい脱ぎすぎ🫣

✅序盤、ジェミのはっきりしない感じにモヤモヤしたけど、彼女は愛したいし愛されたい人なんだよね。

✅オジョンセさんとイエルの役、愛が深くて素晴らしい。演技力も相まってほんと泣かされた。

✅5人の父親候補を探すかと思いきや、そうじゃなかったのは、血以上に縁や情の強さを描きたかった？

✅心に響く言葉がたくさん。私も人生最後に目を閉じる時、何を見てるんだろうかと思わされた。

今年はソンジェがNo.1と思ってたけど、思わぬ伏兵現る。地味にジワジワきてます。もう一回最初から見たい！