ゆう

ターニング・ポイント:核兵器と冷戦のゆうのレビュー・感想・評価

5.0
まだ1本目しか観れてないけど、骨太。
学校の教育(のめちゃうすぼんやりとした記憶)とか、メディアで触れていた表象だけでは、
なんとなくすっぽり抜けてることってあるなぁ、と。
鵜呑みにせず、他の情報にもアクセスしなきゃだが、なるほど興味深い。

・日本の群衆が「万歳〜〜!」って言いまくるフッテージって、日本のメディアであまり観たことがない気がする。
・原爆を落とす国を、ドイツと日本のどちらにするか、という議論。
 このシリーズでは、人種差別的な戦中プロパガンダ(※1)が、ドイツではなく日本に落とそう、という判断に寄与したのでは、と結論づけているのが興味深い。
 (映画「Oppenheimer」では、ドイツに使用しようとしていたが、45年5月にはドイツが無条件降伏してしまったために、日本に使うことになった、という成り行きが描かれていた。)

・あとびっくりしたは、そもそもの冷戦の始まりってなんだったっけか?という知識が自分の中でゴッソリ抜け落ちていたこと。
 このシリーズでは、「ソ連を牽制するための政治的な判断として原爆が使われた」と結論づけている。
 当時のアメリカは、あくまで枢軸国に対抗するための短期的な戦略としてソ連と手を組んでいた
 しかしトルーマン大統領が、スターリンに原爆の存在を教えたくなかったたため、広島の原爆投下後、ソ連も秘密裏に原爆開発を進めた。
 これが、米ソ冷戦のスタートなのである、というナラティブ。

 第二次世界大戦中に、そういえば米ソが一応連合を組んでいた、ということを忘れていた。(知らなかったかも)

※1:「真珠湾攻撃の後、アメリカ政府は、世論をあおる必要があった。日本人を悪く描く、膨大なプロパガンダキャンペーンが展開された。人種差別的な描写も強調された。ドイツ人は邪悪な敵、冷酷ではあるが、それでも『人間』として描かれていた。だが日本人は、人間以下の存在として描かれていた。」
「この原爆を(ドイツであれ)民間人に対して非人道的だ、という反対意見もあっただろう。だが、日本に対する人種的偏見は、迷いを持たせませんでした。」
ゆう

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