自身の体験を、自分で脚本を書き、自分で主演した衝撃のドラマ。
最初はストーカー被害がどれだけ恐ろしかったのか、一部始終をただ語るドラマかと思った。
そこから反転し、グルーミング、彼自身のメンタルヘルスの話だったのだ。
「初めての感情は、同情だった。」
あり得ないほど混乱し、地の果てまで自尊心が落ちてしまった彼の心に入り込んできた、マーサ。
無条件に称賛してくれる彼女。
恐ろしくヤバいけれど、共感してしまうドニー。
いなくなれば繋ぎ止めたくなる依存関係。
自分としては、ドニーが働くパブの同僚の悪ノリがかなり不快だった。
セリフにもあったけど、
「異性愛規範の女性差別主義者から承認されたかった」ら、下品な笑いに走るしかないのか。
あの笑えないユーモアよ………
マーサのモデルとなった女性が、法的措置を検討しているというニュースが飛び込んできた。
彼女の心の奥底には何があったんだろう。
怖い、気味が悪いと切り捨てることは簡単だけど、そういうことではない。
でも当事者間で解決することは難しい。
加害者も被害者も多面的に描いている、見事な脚本でした。