Piroshi

セナのPiroshiのレビュー・感想・評価

セナ(2024年製作のドラマ)
4.4
セナは無邪気なところがある。

マクラーレン時代、あれだけプロストと大喧嘩をしておきながら、ウィリアムズの時代になると、プロストのいるウィリアムズにしれっと入ろうとするのだ。

プロストからしたら、お前、どういう神経してんだよ、と言いたいところだろう。

セナはプロストが引退したあとで、他のドライバーの勝負ではプロストほどには闘争心が湧き立たない自分に気づいてプロストに「復帰しなよ」と面と向かって言うような男なのだ。

「君に勝つのは最高だ」からレースに戻れと甘えてくるような男なのだ。

プロストからしたら、復帰したらしたで、俺に噛み付くセナに戻るだけだよ、と言いたいところだろう。

実際、セナがプロストに友好的になったのは、プロストが引退宣言をしてからの話で、闘争心を除外したら、大好きという気持ちだけが残ったという構図だ。

めんどくせえ……!

プロストはいろんな意味で大人で、セナは子供。
プロストは兄貴で、セナは弟。

そんな風に見ることもできるドラマである。

ただ、この目線には、当時のF1を見てきて、セナが亡くなってからもう30年も経ってるから、恨みや憎しみの話はもういいよ〜、みたいな気分が多分に混じってる。

悪い話よりいい話が見たい。
バレストル会長は悪魔でいいけどさー(おい)

メインストーリーはセナvsバレストルだ。

日本人が金メダルを取り出すと、ルールが変わる。
それのブラジル人版がF1だった。
いろんなスポーツであったんでしょうな。

フランス人会長からすると、セナは身の程をわきまえない南米小僧で、どんなに叩いても従順にならない。しまいにはセナの言うことを聞いたら自分が負けたことになるから聞かないレベルの対応となって、1990年の鈴鹿に至っては、ポールポジションが不利な位置に着かされてのスタートとなる。

セナは恣意的なジャッジやルール改正で、何度も煮湯を飲まされる。
勝利を失い、チャンピオンを失い、最後には生命を失う羽目になる。
94年のレギュレーション大変更がなく、93年のマシンで走れていたら、サンマリノの悲劇はなかっただろう。

特定のチームが数年にわたって勝ち続けることは、F1においてはままあることで、94年のルール改正は拙速に過ぎた。

もう少し、ゆるやかで、安全性も考慮されたものであれば、セナもラッツェンバーガーも亡くならずに済んだ。ウィリアムズは3年連続チャンピオンになったかもしれないが、99年から04年まではフェラーリが6年連続で勝っている。この時期のF1人気もセナが去ったことで終わった。なんだったんだ、あの改正。

話がコースアウトした。

当時のF1マシンが華麗に再現されているところがいい。大部分はCGだ。「MFゴースト」などを見ていると、レースものはアニメーションの方が、CGの画質に人間を合わせていけるので、良いのではないかと思うところもあったのだが、実写も負けていないと感じた。

なによりセナは名レースが多い!
奇跡の逆転劇を何度も起こしているところが強い!

雨の日のモナコ、14位からトップに立った鈴鹿、チェッカーを受けたところで気絶したブラジル、ファイティングスピリッツの塊だ。年間チャンピオンになりたいなら、1位を奪ることにこだわるより、2位以下でも確実にポイントを稼ぐ方が賢い。なのにセナはその場その場のレースに勝ちに行く。プロストから見れば愚かな少年かもしれないが、それがセナなのだ。

ウィリアムズでまた一緒に走ろうぜ。
嫌だよ!!!!

稚気愛すべきセナに再会できる。そんなドラマだ。
Piroshi

Piroshi