女子刑務所の中に、“受刑者が一般客の髪を切る”美容室がある。 鏡の前に立つ美容師は重い罪を犯した者。 小松原葉留(奈緒)は、美容室担当の刑務官・菅生冬子に連れられ、今日も刑務所内に存在する “あおぞら美容室”に向かう。葉留は刑務所所長の保坂が受刑者たちへのある思いを込めて作ったその美容室の唯一の美容師で、一般客の髪を切っている。 常に刑務官の監視下にあり、様々な決まりごとがある塀の中の美容室。ここの美容室に立てるのは美容技官・加川美沙らの指導により刑務所内で美容師免許を取得したごく一部の受刑者。 そしてそんな美容室を訪れる様々な事情を抱えた一般のお客様たち。幅広い年代の女性たちはなぜ、そこで髪を切るのか。優しい面持ちで物静かな葉留は彼女たちの想いに寄り添うように、耳を傾けながら丁寧に髪を切っていく。 刑期も満了に近づく中、罪は刑期を終えれば償えるのか自問自答を続ける葉留……ある日、自身が犯した事件により、加害者家族になってしまった姉の小松原奈津が客として美容室を訪れ――。 ひとりの受刑者と、社会を生きる女性達の人生が交錯する、やさしくてあたたかな「再生」の物語。