天行健~革命前夜、風立ちぬ~の34の情報・感想・評価

エピソード34
#34 悲しい別れ
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あらすじ
林安静が清伊信風らの宿に密かに出向いて状況を報告していた頃、王家洛は仄沢居から血痕をたどってその宿屋に辿り着く。家洛はそこで会話を立ち聞きし、安静が日本人の放った密偵であることを確信。安静は宿屋から出たところで家洛に問い詰められ、諜報活動をしていたことを認めるが、その一方で家洛への想いを涙ながらに吐露する。
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tanzi

tanzi

とうとう王家洛が林安静の正体に気がついた。 「君はどんな男とでも情を交わせるのか?」 嫉妬するのはまだ自分への愛が残っているのだと感じ取った女は「あなたは違う」と一縷の望みに賭ける。 「俺を利用した」 家洛は嫉妬より強いわだかまりを口にする。 戻れない道、自分で選んだ道、任務ならいくらでも回る頭だろうが彼女はその人生の真実を語る言葉だけが出てこずに、騙していた事を認めることしかできない。 すでに女は覚悟していた。ここで自分の命も尽きるのだと。 「心からあなたに嫁ぎたかった。大沽に帰ろう。今の私を捨てる。あなたといられたらどんな暮らしをしても平気よ」 だから今こそ、心の半分で思っていた本当の気持ちを。 「名前はなんだ?」 愛する男にそう訊かれても名前を持たない彼女には答えられない。 答えのないことが答えだと受け取った家洛は、朝廷の捕吏である自分を奮い立たせ迷わず女をその刀で差し貫いた。 名のない彼女は林安静という名前が好きだった。 同じ組織で働く女にすら見下され蔑まれてきた者が唯一大切にしたいと思った名前。 少女の頃に出会いたかったと、名のない女としてかつて唯一彼に語った本音。 大沽に連れて帰って、あの家に。全てをさらけ出したあとに残った最期の願い。どうか、このまま林安静で。