いのしん

家政婦のミタのいのしんのネタバレレビュー・内容・結末

家政婦のミタ(2011年製作のドラマ)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

Hulu無料トライアルを機に再視聴。自分が中学生時代の作品になるのかと思うと、すごく懐かしい。1話目から人の死を扱っていて、ちゃんと暗い作品だなと思う。ミタ(松嶋菜々子)自身も命令に忠実でロボットのように動くだけかと思いきや、うらら(相武紗季)のそそっかしさに見かねて散乱した食器や料理を自ら片付けたり、隣人の主婦(佐藤仁美)の失礼な言動に対して放水したりと、多少は人間らしい心も残っているようだ。「その家庭の味を覚えるのが家政婦の仕事なので」って発言、かっこよすぎるだろ。1話エンディング、父・恵一(長谷川博己)が母・凪子(大家由祐子)の本当の死因を暴露、続きが見たくなるような構成はさすがだなと唸る。2話エンディング、いじめられ汚された海斗(綾部守人)の靴が一夜にしてピカピカになっているシーン、感動する。ミタの有能さと、一緒にいれば何でもしてくれるという強い安心感が半端ない。問題がある家族に第三者が介入し、一人一人更生させていく、という話の設定は、「家族ゲーム」と同様。家族ゲームの家庭教師・吉本といい、家政婦の三田といい、その家族を徹底的に調べて尽くす。これがプロの仕事だと思うと、真似できないな。営業も顧客を知って尽くすという点では、やっていること変わらないのに。
ミタ自身が阿須田家のメンバーに感化されて、徐々に自我を取り戻していくのが良い。8話エンディングでミタの口から暴露される自身の過去。フィクションとはいえ、壮絶でえげつない。現実にもあり得そうだが。自然と泣いちゃうね。そして落書きといい放火未遂といい、この家族はどれだけ警察にお世話になるのだろうか。最終話、ミタが阿須田家の家政婦を辞めることとなり、最後の業務命令として「笑って」とお願いする恵一。どんな空気になるかと思ったが、自然な笑顔で阿須田家の一人一人と言葉を交わし、「承知しました」と答えるシーンは感動してしまった。やっぱり最後は笑って終わるか。とはいえ、クリスマスイブまで居てだの、走り出したバスを止めて希衣(本田望結)と抱擁を交わすだの、子供たちのわがままもあり、別れのシーンがダラダラと続くのはストーリーとしてあまりよろしくない。
やはり家族ゲームと構成がそっくり。自分の身を削って、崩壊した人間関係を再生させるために、家族の更生・教育に尽くす。そのために家族のことを徹底的に調べる。役目を終えたら颯爽と姿を消し、また次の現場へ向かう。さすらいのヒーロー感がかっこ良い。