Ayano

MR. ROBOT / ミスター・ロボット シーズン4のAyanoのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

【”君”がとても愛おしい】

やっと完走できた、ミスターロボットシリーズ。最後まで観た感想としては、おどおどして、弱くて、でも強くて、愛するもののために全力で戦う、愛するものを大切にする、そんな”君”がただただ、愛おしい。
幸せになってほしい、抱きしめたい、そう思わせてくれるヒーローだった。
ラミ・マレック演じるエリオットが怯え、弱さに向き合い、少しずつ前に進んでいく姿を観て、心の中で大声で応援していた。
ラミの大きな瞳から溢れるたくさんの涙をみて、この青年の幸せをただひたすら祈った。
なぜ、彼がこんな目に?と怒りが込み上げる回もあった。
弱さを見せるヒーローだったからこそ、最後まで感情移入をして応援できたのかもしれない。
大好きなキャラはみんな死ぬし、血を流してボゴボコになるし、とにかくみんな幸せになってくれ、と祈り続けるドラマだった。

正直ハッキングのことは難しすぎて分からんし、ダークアーミーとの力関係や、Eコープがしでかそうとしていたかとか正直細かいところはよく分からない。(ダメだろ)
だけど、私たちの考えを180度回転させる演出は毎度驚かされ、心が掴まれる。ドラマ『コンフィデンスマンJP』のダー子に騙されている気分だ。
シーズン1で、実は自分がミスターロボットで、見ていた謎の男は実は自分が作り出したもう1人の自分だった…という展開にもうびっくりしたんだけど、最終回の実は私たちが「エリオット」と思っていたのは「本物のエリオットではなかった」という事実にびっくりぽんなのよ…
え、主人公が”本物”じゃない…?そんな主人公、いやヒーロー像は見たことない。

主人公が不安定な性格だから、自分たちが観ているのはリアルなのか、空想なのか…本当にその境界が分からなくなるドラマだった。私が今見ている物語はエリオットの空想?それともリアル?本当にわからない。そのミステリアスさ、怖いもの見たさに化け物に近寄ってしまう、人の好奇心をうまくついたドラマだと思う。

シーズン4は30分くらいセリフがない回とか、まるで舞台のような構成で進んでいくものがあったりとか、遊び心満載のシリーズであらゆる回で「挑戦」をしているなと思った。
シーズン1で出ていたキャラがなんでこんな時に出てくるの?と思うシーンもあったけど、どれもエリオットには必要な要素だった。最終回見たときの、1話からの伏線がすげぇ…。
この見事で、見たことがない構成のドラマを観て、このドラマがなぜ高い評価を受けているのか分かった気がした。史上最高のコンフィデンスマンドラマだ。
途中、意味わからんすぎたところがあるが、今思うのはとても面白いドラマだったということだ。

最後に。
このドラマを見て、「性同一性障害」という病気を知った。それが幼い頃の性的虐待のトラウマから生まれるということも。記事を探すとエリオットのような人がたくさんいる。多重人格はドラマのトリガーとしてカッコよく使われることが多くて、正直そんな人なんていないと思っていた。
でもいるんだ。ネットの記事たくさん出てくるんだ。
美化するんじゃなくて、それに苦しんでいる人がこの世の中にたくさんいるということを頭に留めておかないとなと反省した。

ありがとう。”君”。
Ayano

Ayano