くるみ

Aではない君とのくるみのレビュー・感想・評価

Aではない君と(2018年製作のドラマ)
3.0
録画していたスペシャルドラマ。
こんなに苦しい気持ちになるとは思わなかった。
観たことを後悔してはいないけど、二度と観返す気にはならないと思う。
そのくらい重い作品だった。
「心を殺すの身体を殺すの、どっちが悪いの?」という少年の問いかけが頭から離れない。
簡単に答えられない問いだし、私には永遠に正解を見つけられない気がする。
このドラマでは(うろ覚えだけど)「心を殺すのも悪いけど、身体を殺したら二度と取り戻せない。心は壊れてもいつか取り戻せるかもしれない」というのが一つの答えとなっていたが、それが正解だとも到底思えない。
被害者の少年の父親が加害者の少年にむかって「たしかに息子は君に酷いことをしたかもしれない。だけど、殺されるほど悪い人間だったのか」と訴えるシーンがあった。
息子を失った父親の怒り、悲しみ、喪失感はわからなくもない。
だけど、大切にしていた猫を自らの手で殺させることは “殺されるほどのこと” ではないのか。
その他の描写も決して看過できる戯れではなかった。
一歩間違えれば命を落としていたのは加害者の方だったかもしれない。
そこらへんの気持ちは結局のところ当事者にならないとわからないことだと思うけれど、結末もすっきりしない終わり方だった。

今回は主人公が加害者の父親だったこともあり、やや加害者に同情的な作りになっていたところもある。
報道のされ方や物語の作られ方で踊らされないよう、正しく物事を見極められるようになりたい。
そんなことを思った。
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