shun

エージェント・カーター シーズン1のshunのレビュー・感想・評価

5.0
「エージェント・カーター」シーズン1全8話観終わった

なんと一日で観終えてしまいました

MCUのスピンオフドラマ「エージェント・オブ・シールド」のさらにスピンオフ
今AoS最終シーズンを観ていて、結構シールドとかカーターなどドラマシリーズと絡んでいるので復習のため二度目の観賞

「キャプテン・アメリカ」の一作目から約一年、SSRのエージェントのペギー・カーターのその後を描くドラマシリーズ

ペギーを演じるのは個人的に一番好きな女優のへイリー・アトウェルで、このドラマにも思い入れがあります。

第二次世界大戦後、未だにSSRのエージェントではあるものの男ばかりの職場で隅の方に追いやられ、お茶汲みばかりしているペギー。自分の仕事に価値を見出だせないでいたそんなところに旧友のハワード・スタークが現れ仕事を依頼する。
スタークはちょくちょく出てきますがほんとに遊び人。あの少ない出演時間で一体何人の女性に手を出したんだ、、?ドミニク・クーパーのチャラい演技好き
国家反逆罪に問われるハワードは逃げ回るのに忙しいのでその間執事のジャービスがペギーと行動を共にすることとなります。トニーの執事ロボットもここから名前を取られたということですが面白いし応援したくなるキャラです
やはり他の作品の登場人物がちょくちょく出てくるのがこういうドラマの見所の一つ

このドラマの大きな特徴は「舞台が40年代半ば」そして「女性が主人公」であること。
戦争が終わればキャプテンアメリカやハウリング・コマンドーズと共に戦ったのも過去の栄光、部署の端に追いやられ明らかに差別されるペギー。それでも常に余裕と気品を保ちながら実力で男社会に立ち向かう
これ、「強い女性像の押し付け」じゃなくてあくまでも"一人の人間"であるペギーが友人の力を借りながらも悪に立ち向かう姿がそもそもかっこいいし性差別に対してもイギリス人らしいユーモアで切り返して他を黙らせるのが爽快

アメリカのドラマで舞台もニューヨークであるにも関わらず、主人公含め二人もイギリス人っていうのもいい味を出してる。(ペギーとジャービス)ウェイトレスのアンジーがペギーのことをいっつも"English"って呼ぶんだり、ジャービスがいちいち紳士的でなのにあたふたしてたりするのが毎度面白い。
ペギーが色々な人との会話でちょくちょく辛辣な皮肉やイギリス人っぽいユーモアを入れてくるのが見てて楽しいです

40年代アメリカを再現したセットや衣装も味があるしペギーの周りのキャラも個性豊か。ウェイトレスの友人アンジーはいい子。ドッティーは有能で冷酷ですが"レッドルーム"登場しましたね。ブラックウィドウの先輩ということか。ダニエル・スーザはいいやつですね。"今後"の活躍が楽しみ、、、

個人的に一番好きだったのは5話。ペギーとジャックがロシアらへんでハウリング・コマンドーズと任務する回です。懐かしい戦友(ダム・ダム・デューガン以外は初登場)と共に北の大地で激しい戦闘を繰り広げるってだけでも楽しいですがストーリーも好き
この回、題名が"The Iron Ceiling"(鉄の天井)なんだけどこれはいわゆる「ガラスの天井」をもじった物なのかなと思う
「ガラスの天井」とは女性やマイノリティーに資質や実績があっても能力を認めようしない"組織内に存在する障壁"のこと。企業以外でもスポーツ、政治などの場面でよく聞きます。
このドラマシリーズでペギーはそんなガラスならぬ「鉄の天井」を打ち破ろうともがいている。時は40年代、男女平等が叫ばれる現代よりもはるかに世の中は男尊女卑社会、男だらけの職場で"ガラス"より分厚く強固な"鉄"の天井が当たり前に存在する時代
ほとんどの女性がそうであったように能力があってもそれを披露する機会さえ与えられなかったペギーですが、この話でついに天井に大きなヒビが入る。
生死の懸かった極限の状態で一人のエージェントとして完璧に任務をこなしただけでなく、他全員男のチームの先頭に立って成功に導いた。デューガンとの再会のハグやトラックでの会話が素晴らしい。ジャックが戦時中の話の真相をペギーに打ち明けるシーンも印象的、あそこの一瞬は職場の同僚の"男と女"ではなく同じ戦争を生き延びた"戦士と戦士"の時間だった。
この後ジャックのペギーへの態度が一変したかというとそうでもないがこのドラマの中でも重要な1シーンであったことは間違いない

ペギーの天井が崩れ落ちシールド創設、初代長官に就任するのはまだまだ先の事。このドラマはそんな彼女の長い人生のほんの一部を切り取ったものですが、戦後のアメリカに生きた一人のエージェントの活躍がもっとたくさんのマーベルファンやそうでない人にも届いたらいいなあと思っています。
shun

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