ヒロシー

メディア王~華麗なる一族~ シーズン3のヒロシーのレビュー・感想・評価

5.0
私のTLを見てくれている物好きな方々、これだけは覚えておいてください。2018年に開始してから飛ぶ鳥を落とす勢いで爆進し続け、HBOがポストGOTとして暖めてきた『ウエスト・ワールド』を蹴落とし、間違いなく世界のTVシリーズの現行王者として君臨しているのがこちらの『サクセッション』です。日本では今の『メディア王~華麗なる一族~』等、様々な邦題が付けられるゴタゴタに巻き込まれて認知度は決して高くないですが、これを見ておかないと今後のコンテンツの理解度に関わってくるレベルのバケモノですから、是非とも今のうちにUーNEXTでシーズン1から見てください。

このシーズン3も、これまでの2シーズン以上に尋常ではなく面白い。ケンダルとローガンの対立が軸ではあるが、他の子供たちの一挙手一投足から全く目を話せない。アホのコナーは置いておいても、聡明で常に正しいが故に認められなくて沈んでいくシヴ、勘の良さと持ち前の下品さで太刀振る舞うが突っ切れないローマン、それぞれの苦しみが強烈なコメディの中に生々しく挟まれていて、鑑賞側は常に揺さぶられてしまう。

主役・ケンダルも吹っ切れたかと思いきや、予想通り泥沼へと沈んでいく。最低限(?)しか酒に手を出さなかったが故に苦しみ、もがき、大切にしたいものをどんどん失っていく。ジェレミー・ストロングは本当にすごい。そして完全にヴィランだったローガン、本当に何かを潰してしまわないと気が済まないんだろうね。次シーズンでは彼の苦しみにさらにフォーカスが当たるのだろう。

トム&グレッグの名コンビはやっぱりおふざけ担当なのかと思いきや、段々と怖いものなしになっていく様は怖かった。特にトムは今シーズンのMVPだったと思う。ジェリーやフランクも大活躍。エイドリアン・ブロディやアレクサンダー・スカルスガルド等、新しい仲間達も存在感抜群で、とにかく俳優は全員完璧。

元々は現代富豪家族でシェイクスピアをやってみました、という着想に近かったらしいという話をどこかで聞いたことがあるけど、このシーズンでその意図が明確になってきたのではないでしょうか。脚本が面白いのなんて大前提で、演出のレベルアップが半端ない。『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』のキャシー・ヤンや『ハスラーズ』のローリーン・スカファリアまで参加していて、それぞれちゃんと仕事しているけど、中心エピソードを固めたマーク・マイロッドが見事!各シーズンの最終2話は全て彼の手に任せられているのも納得。

ベストエピソード:9話。これだけ密室で、もしくは電話一本で全てが決まっていく世界観で、あの3人が結束するのがあんな場所だなんて。ローマンの言葉選びに涙が止まらなかった。
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