三樹夫

ブレイキング・バッド SEASON 2の三樹夫のレビュー・感想・評価

4.0
ウォルターはあたおかでジェシーはメンヘラ。ウォルターはクズでジェシーはダメ人間と言ってもいいかもしれないけど。というより登場人物のほぼ全員が嫌な奴で、ガハハ系の本来であれば嫌な奴として機能するハンクと悪徳弁護士が快活で気持ちのいいキャラになるという逆転現象を起こしている。ジェシーはシーズン1で死ぬ予定だったのがその後も生きているように、このドラマも人気がある限りライブ感で続けていくというよくある洋ドラの作り方で、結末や細部を決めないで作れる限り作り続けるライブ感の弊害がキャラクターの不快感として現れている。スカイラーが一番嫌われているみたいだが、スカイラーの動かし方が麻薬で金儲けの大筋の物語の進展をとんとん拍子にはさせないためのキャラとしての機能が大きいので、構造的にヘイトが溜まるキャラになっている。
どんどん悪の道に染まっていくウォルターだが、販売エリアを拡大しろ、アクシデントが起こっても俺に責任はねぇと、絶対にこんな奴と同じ会社にいたくねー。余計な一言も多いし、募金の時もそうだがちょっとは我慢が出来んのか。父性の回復への妄執に囚われ、日曜大工しだすのもそうだしジュニアに酒飲ますのもそうだが、募金は施しを受けるみたいだから嫌と、理想の頼れる父親みたいなのになろうとする様がどうしようもない。また今までは冷遇されていた自分の化学知識が、やっと日の目を見て麻薬精製という形で大金を獲得したという誇りもあるのだろう募金に不快感を示すが、おっさんもう黙っててくれとなる。
ジェシーは他人への依存度が高いうえに自己中と、まあジェシーだけでなくウォルターも自己中だけど、ジェーンの父親が訪ねてきた時にしゃしゃり出てくるくせに自分が都合の悪い時には出て行ってくれとメンヘラっぷりが凄い。スーパー売人も見つかったことだし、ジェシーと組む意味はもうほぼない上にジェシーと組むことがジェシーを追い込んでいる。

スカイラーは会計事務所に復職するが不正会計をしているという、一度病気になれば麻薬作るか一家路頭に迷うかしかないし、街の会計事務所は不正会計をしないといけないしと相変わらずアメリカのボロボロ模様が描かれる。
この会計事務所もなんか嫌~な職場で、同調圧力かけてマリリン・モンローのモノマネ強制してくるのキモい。職場としてダメなのはそういうとこなんだろうな。

トゥコ関連と悪徳弁護士登場はアッパーだが、それ以外は家庭不和などダウナーというかメソメソしている。悪徳弁護士登場回はもの凄く盛り上がるが、キャラでドラマを引っ張るタイプの作品なんだろうな。そもそも話の作り方がどう考えても最初から最後までガチガチに決めて作ってはいないので、どんな面白キャラを出せるか次第なところがある。ガスといい始末屋のおっさんといい良いキャラが出てきたシーズンではあった。
ハンクの良い奴っぷりが止まらず、職場で募金募るとかめっちゃ良い奴。ハンクとソウルの二大ガハハおっさんが萌えキャラという、萌えキャラおっさんがオアシスみたいになっている。
ラストは風が吹けば桶屋が儲かるというか、麻薬を作って売り捌き麻薬中毒者が出ることのネガティブな結果を誇張して提示し、決してこのドラマは麻薬を肯定するものではないとシーズン1に引き続き麻薬のネガティブなイメージを挿入している。
三樹夫

三樹夫