ルーク大佐

ブラック・ミラー シーズン6のルーク大佐のレビュー・感想・評価

ブラック・ミラー シーズン6(2023年製作のドラマ)
4.4
待ちに待った最新シリーズ。どの話も先が読めない展開だ。5作品とも味わい深いが、もっとも印象に残るのは「ビヨンド・ザ・シー」。

これはシャルル・トレネの名曲『ラ・メール』を効果的に用いた傑作だ。二人の宇宙飛行士が主役のストーリーで、舞台は1969年である。2000年代や未来だと、ちょっと設定に無理もあるからこれはこれでいいかも。

そこである事件が起こった。
ただっぴろい宇宙のど真ん中ではお互いに相手が頼みであるゆえ、相棒がメンヘラでは航海も覚束ない。助け合いが不可欠だからね。

温情を相手に示せば、いつか回りまわって自分にも恩恵が訪れる。
まさに「情けは人の為ならず」といわんばかりに慈悲の行為を施したところ・・・。
人前で泣く、音楽を聴く、絵を描くことは傷ついた心を癒やす療法でもある。ただ、人間の心はそんな善意で満たされていない。

究極的にいえば、相手の悲しみを深く理解するには相手と同じ境遇になってはじめてわかることもある。人の世の皮肉を見事に描いた作品だ。

アーロン・ポールとジョッシュ・ハートネットの最終カットは名シーンであり、ある意味その後の航海を思えばハッピーエンドではないだろうか。

ラストエピソード「デーモン79」はどんな狙いであのラスオチにしたのかが気になる。シリーズ最終話のラスオチだから、制作陣の思いが刻まれているはずだ。
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