さすらいの用心棒

名探偵ポワロ シーズン11のさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

名探偵ポワロ シーズン11(2013年製作のドラマ)
3.3
『マギンディ夫人は死んだ』以外はとにかくドラマ的な不作のシーズン。

『マギンディ夫人は死んだ』誰に恨まれるでもない普通の婦人が殺され、冤罪と思われる容疑者も特段罪を否認するわけでもない。この状況で一筋の糸を見出して真犯人を指摘するドラマ的な面白さ。映像的なクオリティではシリーズ屈指の出来で、淡い光線に彩られた英国の世界観にはうっとりとしてしまう。また、それは二転三転するラストの推理の鮮やかさにも表れており、ミステリとしても、ドラマとしても非常に見ごたえのある作品だった。シリーズ最大の危機、ポワロ殺害未遂事件も発生。

『鳩のなかの猫』女学園での事件。ポワロの推理は筋が通っているけど、犯人はその人でなくても可能じゃないか、と思ってしまう。ミステリファンからの評価もあまり高くない。ドラマの質が落ち始める作品。

『第三の女』オリヴァ夫人登場。本作の主人公ともいえる”第三の女”の馬鹿さ加減にまったく共鳴できず、非常にありきたりなところに落ち着いてしまった感がある。真犯人へのミスリードが大きいけど、こんな犯行が果たして可能なのか疑問視してしまう。

『死との約束』シリーズの中でも非常に悲しい殺人事件。にもかかわらず、監督がヘタなのか、ドラマとしてセンスの欠如が甚だしい。『シャーロック』でホームズの兄マイクロフト役を演じ、さらに脚本まで執筆したマーク・ゲイティスがチョイ役で登場し、『ハムナプトラ』シリーズでコメディリーフを演じ続けたジョナサン役のジョン・ハナーが発掘現場に再来している。本作は『ナイル殺人事件』のピーター・ユスティノフがポワロ役を演じた『死海殺人事件』というタイトルで映画化されているが、かなり脚色されているので別物としても楽しめる。ただし、面白いものではないです(笑)