クレミ

警部補 古畑任三郎 1stのクレミのレビュー・感想・評価

警部補 古畑任三郎 1st(1994年製作のドラマ)
4.8
テレビでシーズン3の再放送やってて久々に見たくなり、1話目から鑑賞中。
日本では珍しく海外推理小説にテイストが寄っている気がする(コロンボからきているからか?)。
「古畑任三郎」といういわば絶対的な存在を主軸にトリック重視の構造。この弊害として、各話人物のディテールの描き込みは弱い。その代わり、ユニークなトリックとそれに対して絶対的な存在である古畑任三郎の対決構造をとることで「推理」の面白みを際立たせている。
探偵・推理小説史から見れば日本ではこれまであまり浸透してこなかったこの構造がここまで面白くなっているのはやはり、古畑任三郎演じる田村正和の独特かつ圧倒的な演技力、三谷幸喜らしい無駄のないテンポ感(これは推理をする視点で見ると情報不足になってしまっているという弊害も若干含んでいる)、古畑の語りは勿論、キャスティングにも若干メタ的な意味を持たせて視聴者の興味を引いているところにあるような気がする。
そういう中の人的ネタとか語り・演技の独特さって、映像でしか演出できないものなので、媒体の特性を上手く活かした秀作だと改めて思う。
媒体が異なるから比較できないところもあり、大袈裟かもしれないけど日本の推理ものの歴史の中で「古畑任三郎」はかなり特異な存在であり、かつての創作者たちが目指した一種の完成形に近いんじゃないかと思った。

シリーズ通してみたときのお気に入りは、
・堺正章が「こんな機会は滅多にないんだから、人を殺した後に茶漬けが食いたかった」と供述するシーン
・桃井かおりの「痛い…?」
・中森明菜に対して古畑が「貴方はまだ若い、人生まだまだじゃないですか」と諭すシーン→「汚れた王将」で彼女のサイン入りの少女漫画を読んでるのも良い
・歩道橋をバックに笑福亭鶴瓶が不敵な笑いを浮かべるシーン(このシーン本当に怖いし最高、一貫して何考えてるかわからない鶴瓶師匠が不気味すぎる)
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