ういろう

ヴァンパイア・ダイアリーズ<シックス・シーズン>のういろうのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

海外ドラマの恋愛ものとして、これ以上はないんじゃないかというほどの、ドラマチックでエモーショナルな大恋愛を見せていただきました。
以下シーズン1〜6(の主にデイモンとエレナ)に関するオタクの長文です、すみません。

私はシーズン1からずっとデイモン推しだった。初登場時からクルクル変わる表情やユーモア、キャサリンに対する一途さに興味を持った。正直クソ野郎だけど、自分らしさを追及する生き方も好きだった。そして、ステファンの代わりにダンスの相手をするシーンの、2人のあまりのお似合いぶりにトドメを刺された。
最愛のキャサリンもエレナも、どれだけ尽くしても、デイモンではなく弟のステファンを選ぶ。これは見ていて本当に胸が痛んだ。誰かデイモンを心から愛してあげて!と願った。だけど、選ばれないことに傷ついて荒れることはあったけど、デイモンは自分がクソ野郎だということを誰より自覚していた。「君には俺より、弟の方が相応しい。だから忘れて」と愛の告白を暗示で忘れさせたシーン。(しかも泣いてる!)これは愛するエレナに対してだけは自分勝手になれないという、デイモンの奥底に隠されたピュアさと、不器用さが象徴された名シーンだった。あのデイモンが、気まぐれで人を殺しまくるデイモンが、1番欲しい人のために身を引く……?!告白しておいて、その記憶を消す……?!不器用すぎて、切なすぎて、愛しすぎる。
そして、デイモンをより魅力的にしたのは、エレナに対してと同じくらい、弟のステファンのことを愛していたことだ。だからエレナを愛するようになってもそうじゃないフリを続けたし、無理やり奪おうとはしなかった。(時々自制は効かなくなってたけど。)エレナが恋に落ちたのは、デイモンが胸を痛めながらも、エレナとステファンの愛を尊重したからだ。デイモンが死んだと思って記憶を消すようアラリックに頼むエピソードでそれが明らかになった時、私は心からエレナに共感した。あんなにSelfishに振る舞うデイモンが、愛する人のためにはいつも自分を犠牲にする。そんなデイモンの一面に気づいたら、愛さずにはいられない。
デイモンはステファンからエレナを奪ったわけではない。見返りを求めないその悲しいほどに純粋な献身が、結果的に実を結んだのだと思う。ステファンが間違っていたわけでもないし、デイモンが正しかったわけでもない。恋愛って難しいね……。
デイモンの好きなところがもう一つある。それは、ゆっくりと時間をかけてエレナを好きになっていったこと。海外ドラマは初対面からお互い気がある雰囲気を醸し出してそのままくっつくことが多くて、あまりそれが好きじゃなかった。結局見た目なの?ってなるから。だけど、デイモンは最初キャサリンのことが好きだった。そんな中で友人としてエレナと仲良くなり、エレナの人間性を知って好きになったということが伝わってきて、すごく好感が持てた。
だから、シーズン3でエレナがデイモンに惹かれ始めた時は本当に興奮したし、4で結ばれた時は自分の恋愛が叶うより嬉しかった。サイヤがどうの、キャサリンに体が奪われてどうの、記憶がなくなってどうのと甘い恋人期間は短かったが、とにかく2人が両思いで、宇宙の運命(サイラス談)に逆らってまで最後まで一緒に居続けたことが嬉しかった。途中でtoxic relationshipのせいで別れることになった時でさえも、別れ話をしているのに、実質2人はお互いへの愛を叫びあっていた。ドラマ史上に残るベストbreak upシーン。
シーズン6でエレナが眠りについた時のラストダンスは本気で泣いた。色んな障害を乗り越えて傷つけ合って愛し合って、そんなエレナとデイモンのこれまでが、2人の泣きそうで愛おしそうな表情から思い起こされた。

ヴァンパイア・ダイアリーズの物語を通して1番成長したのは、デイモンだった。デイモンは、自分がエレナに相応しくないと悩み続けてきた。どこかのシーズンで、デイモンが気に入っているヴァンパイアとしての性質と、エレナに求められる人間性との間で葛藤するエピソードがあった。そんなデイモンにアンディが言った、「誰かを愛するということはそういうこと」というセリフは、まさに真理だと思う。デイモンは自分が変わることを受け入れた。そして、エレナもデイモンからの影響を受け入れ、2人は苦労しながらも関係性をtoxicから良い方向へと向けていった。愛していないとできないし、これからも愛し続けるには、どんなパートナーにも必要なことだ。

ここまでデイモン×エレナカップルの魅力を長文で書き続けてきたけど、ヴァンパイア・ダイアリーズがNo.1恋愛ドラマだと思っている理由は、それだけではない。
ヴァンパイア・ダイアリーズを名作にしているもう一つのとても大きな要因は、劇中に挿入される音楽が素晴らしいことだ。デイモンとエレナの名シーンに限らず、キャラクターの心情にピッタリ合うエモーショナルな曲が、ここぞというタイミングで添えられる。しかも、いちいち全てが名曲なのだ。だから、視聴者の私たちはまるでその登場人物になったかのように感情移入し、涙を流してしまう。個人的には、特にシーズン3のエレナが山を降りると言い出した理由を問い詰めるシーンでの「Echo」や、シーズン6のラストダンスでの「Hunger」などが叙情的で美しく、お気に入り。他にもたくさんあるけどキリがないので割愛。
そして、デイモンとエレナの俳優の演技は、これ以上なく素晴らしかった。デイモンの普段のチャーミングなおふざけと傍若無人ぶり、エレナを見つめる瞳に映る繊細で切ない恋心。デイモンをこれ以上デイモンらしく、魅力的に生き生きと演じられる役者はいないだろう。エレナはサルバトーレ兄弟が惚れてしまうのも当然な美貌と芯の強さ、優しさの持ち主。モーテルでのキスに至るまでの一連のシーンでは、あと一滴グラスに水を垂らせば何かが崩壊してしまうようなエレナの張りつめた緊張感が、画面を破って伝わってきた。エレナがデイモンに向ける瞳は、怒りも、愛も、悲しみも、全てがリアルだった。

そして、ヴァンパイア・ダイアリーズはただの恋愛ドラマではなく、ファンタジーとしても優れている。ヴァンパイアの他にも魔女や狼人間、ドッペルゲンガーなど超自然的存在がたくさん出てきて楽しい。ミスティックフォールで人間として生きてくのは本当にしんどそうなレベルで魑魅魍魎が跋扈してる笑
また、恋愛要素を除いてもストーリー展開が予想外の連発でめちゃ面白い。魅力的なメインキャラクターが割とバンバン死ぬから緊張感あるし、シーズン終わりは毎回え?!どーなるの?!と驚かされる。
恋愛面でもサスペンス的な意味でもハラハラドキドキが止まらない、本当に面白いドラマでした。

シーズン7.8に関してはエレナがほとんど出演しないので、別枠とします。
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