よるこ

ザ・クラウン シーズン4のよるこのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・クラウン シーズン4(2019年製作のドラマ)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

物語はイギリス初の(現時点で唯一の)女性首相、鉄の女・マーガレット・サッチャーの時代へ。

チャールズ皇太子はカミラと関係を続けながらも色んな女性と付き合うが、その中にサラ・スペンサーがいて、彼女に会いに行った日面白い少女と出会う。
それがのちに皇太子妃となるダイアナだった。

イングランドの支配への抵抗でテロが吹き荒れる時代。北アイルランドのIRAによって、王配フィリップの叔父でチャールズ皇太子にとっても父親のような存在だったマウントバッテン卿が家族や孫と休暇中の船を爆破され亡くなる。

街で偶然、お悔やみの言葉をかけてくれたダイアナにチャールズは興味を持ち、デートに誘う。
両親の離婚で孤独な少女時代を過ごした彼女は20歳にもならない幼さで冷え切った王室に迎えられるが、女王もチャールズも話を聞いてくれず、カミラにはマウントを取られるようなランチに誘われて、この結婚が夢見ていたものではなく不幸な結果しか生まないと絶望しながらも流れに逆らえずに結婚式を迎える。

イギリス連邦からの離脱を望む世論が国民に醸成される事を期待したオーストラリア政府に招待され、赤ん坊のウィリアムを連れて夫妻は外遊で訪う事に。
そこで初めて夫婦はお互いの気持ちをぶつけ合い、良い感じになるかと思われたが、予想以上のダイアナフィーバーにチャールズは激しく嫉妬し、2人はまた別々の家に帰った。

エリザベス女王はサッチャー首相の息子がロードレースで行方不明になり、彼女がお気に入りの子と発言した事に引っ掛かりを覚え、普段気にしてない子供達それぞれと会う事に。
アンは結婚がうまく行っておらず、チャールズも同じ、アンドルーは傲慢で称号を欲しがり、エドワードは学校でいじめにあっていた。
フィリップからは1番のお気に入りはアンドルーだと指摘される。

また、フォークランドを巡ってアルゼンチンとの紛争に発展。保守強行派のサッチャーは戦争を推し進め、勝利を勝ち取り、強硬に経済改革を推し進めて失業者を増やし続けたせいで失った人気を復活させる。

過食症に苦しむダイアナはハリーを産み、チャールズとますます距離が出来ていた。やがてそれぞれの不倫がエリザベスの知るところとなるが、スキーの雪崩事故を機にダイアナは修復を、チャールズはカミラとの結婚を胸に決める。

離婚後も自由に生きていたが、ゲイに恋して振られてしまったマーガレット王女。病気になり手術を受けて回復するが、エドワードが成人した事で王室の主要メンバーから脱落を宣告され、苦しむ。
また、母方の死んだとされていた知的障害を持つ従姉妹たちや、そのまた従姉妹たち5人が精神病院に放置されている事を知りショックを受ける。

女王含め、総じて人に対する冷たさが際立つシーズンだった。
サッチャーやダイアナに対して呼んでおきながら手を差し伸べず、失敗すると冷笑するような陰険な雰囲気。
私たちが中心よ、という感じは自分を律する厳しさに慣れて来た老年期に差し掛かるからだろうか。若い頃のような迷いとひたむきさは影を潜めた感じ。

家族への無関心や冷たさとは打って変わり、コモンウェルズの国々への想い、南アフリカのアパルトヘイトへの反対と経済制裁に関しての会議、首相との不仲に際しては珍しく平静さを失い戦い、政治介入する。しかしそのせいで長年の広報官を失う羽目に。

最後は副首相に裏切られたサッチャーが首相を退任。
強いイギリスを復活させた功績もありつつも、失業者の増加や社会制度の破壊で彼女の辞任を誰もが望んでいた。

劇中やエンディングで毎回違う曲が流れるのだけれど、今シーズンで特に気に入ったのはThe Beatの Stand Dawn Margaret。サッチャー辞任を求める歌詞と明るい曲調、イギリスらしいメロディライン、風刺的歌詞が時代を感じられて好き。

この時代の労働者階級を描いた映画は何本か見たけど、どれも名作。炭鉱労働者とLGBTQの交流が描かれたパレードへようこそとかを思い出した。

また、IRAというとU2のSUNDAY BLOODY SUNDAYや、麦の穂を揺らす風などを思い出す。
今までマウントバッテン卿が殺されたのは王室メンバーでたまたまタイミングが合ったとかなのかと思っていたけど、彼が北アイルランドから奪った城に我が物顔で毎年休暇を楽しみに訪れていた事からだと明確な理由が描かれていて、ちょっとスッキリした。
今まで見た映像作品でそこに言及されたものを見る機会がなかったから。

ダイアナ妃についてもいくつかの映像作品を今まで見て来たけど、過食症の描写や断片的に知っていた事柄を彼女だけに焦点を当てた視点でなく見れたのは興味深かった。

バッキンガム宮殿に忍び込んだ男のエピソードも怖いけど、面白かった。

次はまたキャストが総入れ替えかな。
チャールズとダイアナの離婚や死、マーガレット王女、クイーンマザーの死、カミラとの再婚、テロ…どこまで描かれるのか楽しみ。
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