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ザ・クラウン シーズン4のca324のレビュー・感想・評価

ザ・クラウン シーズン4(2019年製作のドラマ)
4.0
4-1)エマ・コリン演じるダイアナ妃初登場。出会いはまるで「エリザベート」のよう。意図的にまだ18歳のピュアで甘ちゃんな女の子であることを強調した役作りと演出で、マウントバッテン卿が遺した「国民から愛される王妃を選べ」という言葉が重い。間違いなく誰もが愛さずにいられないプリンセスそのものだけれど、チャールズにとって「運命」ではなかった皮肉。
4-2)即位の儀での前首相夫人の装いが叩かれたけど、服装のプロトコルってそんなに事前に聞きにくいものなのか。閣僚の首を切って敵を作ってなんぼと言い切った政治家のサッチャー、無垢な雄鹿(≒ダイアナ)を仕留め、その首を新たな城のアイコンとし、愛されることが義務だとする王室メンバーの対比。
4-3)ダイアナ妃ががらんとした宮殿の中デュランデュランを聴きながらローラースケートで滑る画が印象的。S1で歴戦の首相達と対峙する教育を受けてないと弱音を漏らしたエリザベス女王が、十分なサポートもなく孤独なダイアナを見たらどう思うだろう。あと王室から苦言があったというけど、カミラの悪役扱いが過ぎる。なぜここまで皇太子が執着するのか、彼女の人間性と関係を描かないのはフェアじゃない。
4-4)「女王陛下のお気に入り」でオスカーを獲ったオリヴィアに「お気に入り」の話をぶつけるのが面白い。もしチャールズとアンドリューの出生順が違ったら?長子がアンだったら?色々考えてしまう。
4-5)人には弱くある権利がある。病気になる権利がある。自助共助公助を打ち出す政権やコロナ禍の今を思うととても他人事ではない話で胸が痛い。
4-6)社会人5年くらいやってればもっとましに立ち回れたような局面のオンパレードで見ていて辛い。自分が思うように注目されない苦しみを一番よくわかっているマーガレット王女とフィリップ殿下がもっとメンター的に振る舞えたら良かったのに。
4-7)ダイアナ周りも相当グロテスクな描き方をしているS4、長年見捨てられた王家の親族がいたというこの回もなかなか。たらればの話だけど先先代の王冠をかけた恋のせいで捻れた運命がここにもあったのかと。
4-8)サッチャーの発言一つ一つが今の日本では熱狂的に支持されそうで恐ろしい。そして国家元首が意見をするということに本当に日本の皇室は(特に上皇ご夫妻は)ものすごく慎重に行動していたのだなと思った。
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