shun

ひとつ屋根の下のshunのレビュー・感想・評価

ひとつ屋根の下(1993年製作のドラマ)
4.5
「ひとつ屋根の下」パート1全12話観終わった

「そこに愛はあるのかい?」

7年ぶりに再会した6人兄弟の生活を描く

長男の"あんちゃん"こと達也
次男の"チイ兄ちゃん"こと雅也
長女の小雪
三男の和也 
次女の小梅
四男の文也

それぞれが過去や自分の状況、互いへの色々な思いに葛藤しながらもひとつの"家族"になる話。
一人一人のキャラが何かしら抱えていて、やっぱり色々起こるのだけど感動する場面がたくさんあるし"家族"について考えさせられました。

ネタバレあります

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一番最初に書いておきたいのは全12話通じて驚いた現代の日本社会との違いです。これまでも80年代90年代の作品をいくつか観て時代や技術の発展や移り変わりはすごいなあと思うことはあったのですが今回は特に考え方や常識など目に見えないところについて。
5話や8話でそういうシーンがあったと思うのだけど小雪と小梅、一家の女性と家事の位置付けにすごく違和感と不快感を覚えた。

5話では小雪が達也と署名活動に行っちゃって、8話では調子が悪くて家の家事が滞って、、っていう描写がある。
そもそもひとつの家族で6人も人がいて親もいないのだから皆で助けあって家事だって分担すればいいと思ったのですがまあ一番得意な小雪がそのポジションに入った、というならそこはまだいい。でも一応彼女も達也と同じ店で働いているわけで、達也が家に帰ってきてプリンがないことに怒るシーンとかなんか小雪のしていることや家事そのものに対して見下すような言動に「は?」ってなった。

そして小雪が家事をしなくなった途端に機能しなくなりしかもちゃんとした飯が食えないことを彼女のせいにするという。「飯ぐらいでガタガタ言うな!」っていう雅也の言葉にはちょっとスッキリしたけど。
8話では小雪がいなくなると自動的に次女の小梅が家事担当に。受験勉強中の女子高校生に全てを押し付け男性陣は感謝するどころか文句の雨を浴びせる。

そして挙げ句の果てに「幼稚園で習わなかったのか?女の子は女の子らしく」っていやなんだそりゃ?飯食えることに感謝しろよ、てゆーか自分で作れよ、"ひとつ屋根の下"助け合うんじゃなかったんかい!

と色々思ったのだけどそれくらい家事=女の仕事、女の幸せは結婚っていうのが当たり前で常識だったってことだよね。日本はいつまでたっても性的な平等が進まないとか聞くけど30年で物凄く変化してるんじゃないかなと思った。

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小梅のレイプ事件について
この題材って海外ドラマではものすごくよくあるけど日本のドラマでは"無いことはない"くらい?刑事ドラマの事件のひとつとして、とか未遂なら観たことあったけどここまで直接的に描かれたのを日本ので観たのは初めてかも。

これはどこでもだいたい共通しているのは「被害者の落ち度」「時間が解決」「ある意味こっちも被害者」とかいう胸糞悪くなるような言葉たち
そして加害者に償わせるのもめちゃくちゃ難しい。日本は特に刑が緩い的なことが言われてたけど海外ドラマでもこの辺はすごい描かれる印象
個人的には殺人と同じかそれ以上の罪だと思うのだけど

んでここで思ったのは、小梅が全然描かれないこと。ずっと「なにがなんでも裁判に持ち込む」っていう達也と「そっとしてこう」っていう雅也のぶつかり合いみたいになってたけど当の小梅を映さずにまわりばっかりだから当人が何を考えてるのか分からない。
"本人のためを思って"やってるのだろうけどなんだかいないところで勝手に分かった気になって物事が進んでいく感じが変だった。

ただ最終的な小梅の「悔しい、私、負けたくない」は素晴らしかった
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個人的に好きだったキャラは小雪と利奈。とにかく酒井法子と内田有紀がかわいい。

小雪はただひとり養女ってことでいろいろ苦しむのだけどいつも全員を温かく見守っていて、んで顔が小さくて目がくりくりしててとにかくかわいい

内田有紀は悲劇のヒロインみたいな感じ。実は繊細で弱い部分を強い自分で隠そうとする。いつも相手を馬鹿にするようなことばかり言い合っていた雅也との会話のなかで時折見せる真面目なやり取りが心に残る。

あんちゃんはなんだか好きになれなかった。他のドラマと似てるんだけどちょっとこれはちょっと行き過ぎた感。なんでも決めつけで行動するし単純すぎるというか、、

そして福山がめちゃめちゃかっこいい。声もかっこいいよね

幸夫おじさんも柏木一家のよき理解者で愛が伝わってきた
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最初と最後に流れるチューリップの「サボテンの花」がすごくいい。これ聞くだけで心があったかくなる気がする

とりあえずパート1は観終わりまして、すごく質の高い、感動も家族の温かさも感じられるドラマでした。それでいてやっぱり心にグサグサ刺さる。この時代の勉強にもなりました。パート2もなるべく早く観たいです。
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