言わずもがな、医療ドラマの最高峰。
Emergency Room（救急救命室）を舞台に繰り広げられる命のドラマ──などと感傷に浸っている暇などないほどに、目まぐるしく壮絶な、まるで戦場に飛び込むカメラの臨場感。
連日連夜、隣り合わせの生と死を綱渡りする緊張感。「今日は一人も死ななかった」ということが幸運であるとされるリアリティーにおいて、医療における理想と現実などといった青二才な葛藤を悠長にぶつけ合っている場合ではない。
人種差別、貧困、児童虐待、銃社会に薬物汚染など、救急医療の最前線に顕在化するアメリカの病。
もちろん患者一人ひとりの人間ドラマは劇的でありながらも、その賢明な眼差しは人々を取り巻く社会の問題へ、あるいは生活の営みへと及んでいるのである。
