KunihiroMiki

とんぼのKunihiroMikiのレビュー・感想・評価

とんぼ(1988年製作のドラマ)
-
これが許容された昭和やばい、みたいな言われが多いけど、当時の価値観でも普通にあり得なかっただろうし、それは当然作品のメッセージの核心を表現するために敢えて盛り込まれたものに決まってる。
女をグーで殴り、暴力と金で人をコントロールしようとする最低の男。一方で、道理と義理を重んじて、上っ面な言動で立ち回ることを自らに許さない魅力的な一面がある。出所した浦島太郎を迎えに行くシーンから始まるドラマは、その通り、時代遅れの男が駆け抜ける様を生々しくきっちり描いている。
義理や思いやりを失った現代を嘆くことに終始しないで、それを尊ぶ古い価値観を美化し過ぎず、それらを旧態たらしめたグロテスクな面も同時に拾うところがこのドラマの最も秀逸なところではないでしょうか。
女性たちだけが常に正気で、男たちは古いやつもトレンディな奴も、いずれも的外れで子供っぽくて馬鹿。どうみてもマトモな人々がマトモじゃない奴らの尻拭いをさせられている不条理も浮かび上がるが、これもまた皮肉るのではなく、群れとしての人間なんてそんなもんだ、と言わんばかりのあっけらかんさもある。


飯クンクンするの最高
KunihiroMiki

KunihiroMiki

KunihiroMikiさんの鑑賞したドラマ