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ゲーム・オブ・スローンズ 第四章:戦乱の嵐-後編-のTenKasSのレビュー・感想・評価

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シーズン3の最期に、物語転換の発端が発生したためにシーズン4は新陳代謝のシーズンになった。各登場人物にとって、ある意味束縛となっている庇護者や家族と言うべき関係や人物との別れが描かれた。  
 特にラニスター家はティリオンとタイウィンとジョフリーをある意味厄介払いしたことで、ある意味サーセイの天下ではないか?確実に暴走しそうだ。マージェリーがトメンもろともサーセイをコントロールするか、ジェイミーの良心を信じる他ないが…ジェイミーにはもう力がほぼない。サーセイがいよいよ恐ろしくなってきた。

撮影と視覚効果の質が今までのシーズンより格段に向上した。
ロケーションの壮麗な風景(凄まじい突風の中の撮影は凄い)と、背景に映り込むCGiの架空の都市景観の合わせ技によって視覚的にも七王国が完成した。
シーズン1や2の頃から大掛かりなセット撮影と思しきものが多かったが、その頃は特に照明に難があり、チープな画面が目立った。しかしシーズン3.4からは、かなり少ない光源のみを頼りに撮影していることから、テレビシリーズのライティングの常識(TVの画面は映画館より小さく、明度も個体差があるため現在のデジタル上映の映画館のようにある一定以上の視聴環境の整合性が期待できない。そのため見やすい明るめのライティングを選択することが多い)に逆らっていて非常に映画的な画面が多くなった。
また場面転換のインサートにCGiの都市景観のカットが使われて想像力の補完になっている。(スターウォーズのプリクエルトリロジーを想起する懐かしさ)

しかし惜しむらくは最終話のブライエニーとハウンドの対決の編集。あまりにもカットを割りすぎており、アクションが見辛く、かつ2人の位置関係や表情が見えてこないために緊張感もへったくれもない。最低レベル。ここで大幅に萎えた。

また観客が思っている、または起きて欲しい展開を匂わせた上でそれをひっくり返すといった、裏をかいてくる展開がやけに多用されているように感じ、意図的であるのは分かるものの、手の内が読めてしまうのは若干萎える。

デナーリスがそろそろウェスタロスと絡み出すでしょうね。保守的な王制や血統に囚われ非情に満ちた世界に力と実権と新しい価値観を持つ1人の女性がどう変化を変化をもたらすのか。

デナーリスは世界を正義という名の憎しみのメガネで見ているが…、彼女にとってそうであるように正義は個人により多様で多面的である。故に力の及ばないところもある。
ドラゴンにとってはヤギも少女も食事。
奴隷にとって常に解放が最適解とは限らない。
支配者は被支配者に存在の意義を与える。
名誉が服従によって培われることもあるのなら、指導者と支配者、仕えることと服従することのどこに差があるのか。個々人のアイデンティティは一元的な他者によっては規定しにくいものだし、それが現実だ。
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