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ゲーム・オブ・スローンズ 最終章のSUのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

このシーズンを観るために7シーズンを観てきたと言っても過言ではないくらい、かつて無い見せ場の連続で、もはや超大作映画が毎回続くかのよう。

ここまで来るともはや誰にも死んでほしくない思いは強く、大戦を前にそれは避けられないことがわかるのが非常に辛い。

本来の物語であれば、人類の存亡を賭けた3話目で終われたかもしれない。しかし、このシリーズはそんな生温いハッピーエンドでは幕は閉じない。ありがちな展開を超えたどこまでも辛辣な展開。しかし、それこそが皮肉の効いたこの作品のタイトルが表しているというか。

結局玉座を巡る話であり、そしてその座に固執することがどれだけ滑稽か。終盤に王の命令の元破壊の限りを尽くしたドラゴンが、玉座を炎で溶かすというシーンでは人々の葛藤の代弁者で、一番達観していたのではと思わされるシーン。あの玉座さえなければ避けられた死もあったし、余計な死者を生むなど、象徴的なものとなっていた。
死者との戦いでは絶望的なまでに苦しい戦況下で膨大な被害を出し、そこには涙なしでは見届けられない戦士たちの死が多数あった。それでもまた、傷が癒えぬうちに争いを始める。
人類は人類以外の脅威で一致団結すべきだったが、それは叶わず。また始まる争いで無駄な殺戮は行わずに終えたかったが、それも叶わず。結局権力争いに戦争という形で巻き込まれる民衆の何とも理不尽な死は受け入れ難いが、実際人類の歴史としてこのようなことが繰り返され、そして形式や状況は異なれど、今現在も続いているのである。
何故争いが絶えないのか、王=国を治めるトップ次第でどれだけの被害を被る恐れがあるかの恐怖を、この作品は容赦なく描く。

抑圧からの開放のために手段を選ばない行動を正義と信じ切る盲信的な思想による虐殺。憎しみがまた新たな憎しみを生み、その輪廻を止めようとすると何かしらの犠牲が必要になってしまう。
理性と自我の欲望、個人よりも罪なき人々を救うための残酷な選択。とにかくこのシリーズは、何かを守るために何かを失う過酷な運命との戦いの歴史でもある。そして一番重要なのは物語。この歴史という物語で実際にあった出来事とその顛末から我々は学ばなければならないのに、現在も変わらずに続いていることは、この作品のメッセージとしてきちんと受け取らなくてはならない。

敵味方、共に旅するさまざまな出来事のなかで変化していく立場。最後までわからない玉座の行方と、全シリーズ生き残ってきた人々の末路。
現代へのアンチテーゼを含む、時にユーモアも交えながら語り、そして畳まれたこの壮大なシリーズは非常にリアルでこれが最善だったと思わざるを得ないラストかなと思う。
とにかく非常に冷静というか、冷酷な展開は、これまでの既存の作品のようなただ面白かったねと言って終われるようなものではなく、いろいろと考えを巡らすことになる終幕であり、長いシリーズを追ってきた価値があるものだったと思う。
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