このレビューはネタバレを含みます
久しぶの長文感想。
第1章を見た時、最初はネッドスタークに焦点があたり、この人が主人公なのかな?と思ったら死んだ時の衝撃は今でも忘れない。
その後も誰が主人公か全くわからないまま目まぐるしく変わる玉座に呆然。
そして段々とジョン・スノウとデナーリスの物語(氷と炎の歌)であることがわかって、きっとみんなもこのカップルが大好きになったと思う。
なのにこの2人が最後は物語の周縁部にいるとは誰も思わなんだ。
デナーリスの暴走は正直悲しかった。
でも彼女のバックグラウンドを考えれば無理もない。それだけサーセイが憎かったのだ。
彼女の弟であるジェイミーには親(マッドキング)を殺され、王国を追われた。
旦那であるロバートには、兄が殺された。
愛人であるユーロンには、子どもであるドラゴンを殺された。
そして本人にはミッサンデイを殺された。
もちろんこの物語で大事な人を殺され続けたのはデナーリスだけではない。でも彼女が正義を大義名分にして、個人的な復讐をした気持ちがわからないわけでもない。
そして彼女の良心を信じたジョンとティリオンが自分の無力さを実感したあの悔しさも痛いほどわかる。
あれだけ憎かったサーセイがジェイミーと死ぬ時涙を流して子供の身を案じたのもわかる。
この物語には幸せになる人など最後まで一人もいなかった。そうやって積み上がった悲劇の上に
独裁制や貴族制を超越した、今の共和制・民主制があるのだと力強く訴えてきたのはあっぱれとしかいいようがない。
アメリカドラマシリーズの最高傑作と言えるでしょ。これは。