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ザ・ボーイズ シーズン3の群青のレビュー・感想・評価

ザ・ボーイズ シーズン3(2022年製作のドラマ)
4.0
シーズン2のラスト、あっちゃーって思った頃から1年後の話。


シーズン1からそうだったけど、単なるエログロを楽しむ話ではないっていうのを嫌というほど思い知らされた。
現代アメリカ引いては世界の社会問題をこれでもかと突きつけつつ、同時にそれらを良質なドラマにしているのは関心しかない。面白すぎる。
要は鑑賞カロリーが高すぎて疲れる笑


シーズン1が大企業の悪どい金稼ぎとその被害者である市民、というテーマ。
2が人種差別と女性の自立(同時に男性は男性性からの解放)をテーマにしていたと思う。
今回は前回でも描いた男性性の有害さをさらに深く掘り下げる。
その最たるものがキーパーソンであるソルジャーボーイと主人公ブッチャーだった。


彼らの境遇は観ていくと分かる通り完全に同一だった。有害な父を持ったため自らもその有害さを無意識のうちに受け継いでいた。まさに負の遺産、受け継がれてはいけないもの。
しかしそれらマチズモを良きものとして、誇るべきものとして省みろうとしない。手放すことはそれすなわち恥ずべきものだと思っている。
これは男性であるが故の一種の呪いでもある。

それはもう一人の主人公ヒューイにもある。
彼女であるスターライトはヒーローで人気者。到底敵うはずがない。でもそれでも自分は男だから彼女を守らなければならない、という強迫観念とも言える男性性に悩む。
それに対してスターライトはただ一言、そばにいてくれれだけでいい、と言ってくれる。

これが世の男性の救いになってほしいということだ。

前シーズンで君のおかげで俺がいるんだと言っていたブッチャーやフレンチーは相手に、自分にそんな力はない、それは幻、あなたち男性は、私たち女性を庇護すべき存在や聖女に勝手に仕立て上げているだけ、結局は自分のため、というようなことを言われてしまう。
これは女性にそういう像を押しつけるな、と同時に自分達男性だって男性であろうとしなくていい、ということなのだ。
いやしかし、それでもこの作品出てくる男性たちはほぼみんなそれに囚われてしまっている。

そこから一歩先に進んでるフレンチーとキミコこそその先のヒーロー性や自分にできることを模索する方向に出ているのが強い。清濁飲み込んで現実に一歩踏み出し、守るべきものを守るフレンチーとそれに応えてある選択をするキミコ。
フレンチーはMMにも良いアドバイスをするし、希望が感じられる二人だった。


そんなマチズモとマザコン、エゴなどの腐った要素を一手に引き受けているのが我らのホームランダー笑
最初は弱みを握られているので顔が強張りっぱなし。演技うめー笑
それがあるところからはっちゃけだす。ガキかよ笑
大統領選の応援演説で牧場を訪れるシーンが爆笑モノ。どんだけ飢えてんだ!笑
もっと好きなのはいざ自分が会社のトップになってみると、経営のけの字も知らなかったのでバカが露呈するところ。アホすぎる笑


個人的に好きなディープは相変わらずディープのまま笑
相変わらず受難が多い…その割には改心も出来てない…その時は来るのだろうか…


ラストは一悶着のその一つが大きすぎる…どうなるんだ…特にライアン周り…どうすんだ…

ザ・ボーイズ的には皆かなり成長したので次あたりでいいところまでいきそう。
ホームランダーを泣かせてほしいものだ笑


とりあえず期待大!
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