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秘密の扉のtanziのレビュー・感想・評価

秘密の扉(2014年製作のドラマ)
3.6
エンタメにするには身も蓋もない史実、朝鮮王朝最大の悲惨な事件をフィクションにした意欲作。是非はともかく政治の困難さはリアルに感じられた。

ハンソッキュは役作りのためエキセントリックな演技が続き、少々疲れてしまうので途中から日本語吹き替えに切り替え中和して続行 笑
均役法についての本音を初めて話す王を嬉しそうに眺める世子の顔に思わず涙する。例えそれが自らを懐柔するためであろうと、父が思い描いた人であった事を喜ぶ息子の気持ちは痛いほど伝わってきた。だよなぁ。

後半には王は失脚したキム・テクを世子に斬れと命令。父の心の病みようが顕になって怖すぎる。
これが、父が成し得なかった宿敵を倒した事に冷や水をぶっかけるので全く達成感を抱かせてくれない。脚本が鬼すぎ。

世子の苦悩と挫折は回を追うごとに大きくなってゆく。それでも彼に寄り添う人がまだいる事の喜びと責任。
一方反王朝勢力も気が短い。
理想と現実、ままならぬ他人の心情や善悪でなく立場を脅かすという事の重大さ、比較にもならぬが自分の経験も思い出し苦い後味が続くのもオツでした。

既得権益死守に必死な両班達の
『伝統を壊せば国が滅びる!』
は、
現代の日本でもよく聞くぜと思ったら、女性やマイノリティ弱者の権利を主張する人々への憎悪の言葉まんま。

父王が守りたいのは自らの権威。
息子への愛はある。が、優先順位は別問題。王になどなるものでない、そこは痛いほど伝わり、骨太で見応えは充分ありました。
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