倉科博文

全裸監督の倉科博文のレビュー・感想・評価

全裸監督(2018年製作のドラマ)
3.9
登場人物が魅力的
エロ稼業で身を立てることを決心した者の立志伝と言える
主人公の成長が性急だが、俳優陣の優れた演技に裏打ちされた緊張感や推進力が上手く働いていて目が離せなかった

リリー・フランキーは、ドラマだからといって通り一遍の正義論を振りかざすでも無く、建前とこの世の不条理や恣意性を上手く体現している
立ちはだかる壁となる石橋凌も、ただのイケイケではなく、むしろ繊細で哲学的なキャラクターとして作品に彩りを添えている

森田望智と小雪が演じている家庭・家族も、独特の異様さがとても香ばしい

そしてなにより、山田孝之が素晴らしい
モノホンの全裸監督である村西とおるとは趣の違う雰囲気だが、キャラ負けしておらず、特に物静かに語る時と荒ぶる時の振り幅の大きさは魅力的だし、何より本人より剛健かつ端正な顔貌から出る色気は武器となっている